サッカー日本代表が、10月シリーズを戦っている。10日には南米の古豪パラグアイと引き分け、14日には「王国」ブラジル代…

 サッカー日本代表が、10月シリーズを戦っている。10日には南米の古豪パラグアイと引き分け、14日には「王国」ブラジル代表と対戦する。初戦から見えた課題、さらに、それを活かして、いかにブラジル代表と戦うべきか、ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が激論をかわす!【第2回/全8回】

■市原吏音を緊急招集「ぜひお願いします」

――ケガ人の多い守備陣に市原吏音を緊急招集というのは、すごいアイディアですね。

後藤「(U-20ワールドカップをテレビで解説していた元日本代表DF名良橋晃さんの口調で)ぜひお願いします」

大住「同じU-20日本代表の喜多壱也でもいいよ。U-20ワールドカップで、あの2人はすごかった。パラグアイ戦での最終ラインには、もちろん守備の問題もあるけど、フィードでちょっと物足りなさがあった。前を見てダメだから横につなぐ、結局サイドに流すという形が多かった。裏へ蹴るとか、対角にライナー性のボールを出すとか、最終ラインからそういうプレーをもう出せないと、チームとしては苦しくなる。ボールを受けるときに狙いどころを見つける意識とか、目とか、判断してからのつなぐプレー。ワールドカップ本大会では、ビルドアップの能力が肝になると思う。その点、今回の3人は…僕は鈴木淳之介は悪くなかったと思うんだけど、渡辺剛瀬古歩夢も、もっとやってほしかったという感じがしたな」

■22歳の根本健太が「ロングパス」を通す

――経験の少なさは言い訳にはなりませんか。

後藤「言い訳にはなるよ。それはしょうがない」

大住「だけど、そういう意識が足りなかったと思う。チャレンジもなかったし。やってみてダメだったんじゃなくて、やっていないからね。3バックから時々、降りてきたシャドーの選手などにボールがビシッと入らないと、攻撃に変化がつかないよね。この間、浦和レッズの試合を見ていたら、根本健太という若い選手が出てきて、ビシビシとロングパスを通すんだよね。目が良いし、高い技術を持っていると思った。現代のDF、特に3バックをやるにあたっては、フィードはすごく大事なものだと思う」

後藤「今回の3人だって、自分の所属チームではちゃんとできるかもしれないよ。あるいは、相手が別のチームだったら、また違ったかもしれない。サッカーのプレーの出来は、あくまでも相対的なものだからね」

大住「そうだよね。前とのコンビネーションの問題もあるしね」

後藤「そうそう。今回の3人がワールドカップのアジア予選からずっと出ていて、代表でのプレー経験を積んでいたら、もっとできたかもしれない。だから現段階では、しょうがないと思う」

■「マン・オブ・ザ・マッチ」を選ぶなら

――他のポジションでも、手練れの南米勢を前に個人の物足りなさが出た印象でしょうか。

後藤「個々の出来は、決して悪くはなかったと思うよ。佐野海舟なんて、すごかったもんね。マン・オブ・ザ・マッチを選べと言われたら、間違いなく佐野だよ」

大住「すごかった理由は、遠藤航が負傷で辞退したことで、役割がはっきりしたからじゃないかな。ボランチはコンビを組む相手と、お互いにポジションを見ながらプレーしないといけない。遠藤がいたらまた違って、安心してガンガン前に行けたのかもしれないけど…」

後藤「今回は佐野が遠藤の役割を担っていたんだから、田中碧はもうちょっと攻撃に絡まないといけなかった」

大住「佐野が素晴らしかっただけにね」

後藤「田中は期待したほどではなかったね。佐野の素晴らしさと比べたら、もうちょっとやってほしかった」

大住「調子が良いときの田中はもっと攻撃に絡んで、いろいろなことができるからね」

後藤「今シーズンは負傷で出遅れたでしょ。その影響がまだあるのかな。本調子には遠い」

大住「そう考えると、堂安律はやはりちょっと格が違うなという感じがしたね」

後藤「やはり、自分のチームで調子が良い選手は違うということかな」

大住「調子がというより、力量が違うという感じがした。今回の攻撃陣の中では、堂安だけ1つ上のレベルにある感じだった」

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