サッカーU-20日本代表が、南米チリで開催中のU-20ワールドカップで決勝トーナメントへ進んだ。3戦全勝、しかも無失点…
サッカーU-20日本代表が、南米チリで開催中のU-20ワールドカップで決勝トーナメントへ進んだ。3戦全勝、しかも無失点でのベスト16進出には、今年2月のU-20アジアカップのときよりも格段の成長がうかがえるというのは、サッカージャーナリストの後藤健生。約半年で、チームを劇的に進化させたものは何か? 強豪フランスとベスト8入りをかけて戦う若きサムライブルーの「快進撃」の理由、そして、今後の「伸びしろ」も含めて徹底解析する!
■国内リーグでの「出場」が成長を後押し
そのほか、今シーズン、J1リーグに昇格して躍進したファジアーノ岡山の攻撃の中心を担ってきた佐藤龍之介も、やはり積極的にゴールに向かっていく姿勢を身につけている。
Jリーグというリーグは、もちろんヨーロッパのいわゆる「5大リーグ」にはまったく及ばないものの、その他のヨーロッパの中堅国のリーグと比較してもかなり高いレベルにある。しかも、上位チームと下位チームとの差が小さいだけでなく、J2やJ3という下部リーグでもトップ・カテゴリーと同じようなクオリティーのサッカーを目指しているのも日本のサッカーの面白いところだ(どこまでそれが実現できているかは別として)。
いや、Jリーグより下の日本フットボールリーグ(JFL)でも、関東リーグなどの地域リーグでも、ヨーロッパの下部リーグにありがちなロングキックの蹴り合いとか、延々続く肉弾戦といった試合はない。
そんな国内リーグで出場機会を得ていることが、20歳以下の選手たちを成長させているのだろう。
■意表を突かれた「日本の試合開催地」
さて、日本代表は開催国チリと同じグループAを3戦全勝の首位で通過した。
開催国チリが「ポット1」として入ったことによって、本来の強豪との対戦を避けられたのは幸運だったかもしれない。たとえば、ブラジル、スペイン、メキシコ、モロッコが入ったグループCに比べれば、明らかに楽な組と言っていいだろう(この組ではなんとブラジルが1分2敗で敗退!)。しかも、開催国チリとの対戦で満員に近いスタジアムで試合できたのも良い刺激になったはずだ。
グループAを首位通過したので、僕はてっきり決勝トーナメントも首都サンチャゴのエスタディオ・ナシオナルで居残りになるのかと思っていたが、日本が勝ち進んだ場合、準々決勝と準決勝はバルパライソでの試合となる。グループAでは2位通過のチームがサンチャゴ居残りになるレギュレーションだったのだ。つまり、開催国チリは日程を決める段階から「自分たちは首位通過できない」と思っていたことになる……。
■強豪ポルトガルに勝利して「決勝」へ
さらに、グループAを首位で勝ち抜いたことによって、グループリーグ最終戦からラウンド16まで中4日の休養日を確保できたことも、チームのためには大きなメリットとなる。3戦目のニュージーランド戦ではターンオーバーも使っており、まさに万全の状態で決勝トーナメントに臨むことができる。
もっとも、グループリーグを首位通過したことで、他グループの3位との対戦となったので楽な組み合わせになるかと思ったら、グループEで3位通過となったフランスとの対戦になってしまった。
ただ、ヨーロッパ諸国は「年代別大会はあくまでも育成のため」という考えが強く、最強メンバーを送り込んできているわけではない。しかも、フランスはグループリーグ最終戦からは中2日での厳しい日程となる(もっとも、最終戦の対戦相手がニューカレドニアだったので、大きな疲労は残っていないはずだが)。
そういえば、日本が準優勝した1999年大会(当時はワールドユース選手権)でもラウンド16では優勝経験がある強豪ポルトガル相手だったが、日本は延長戦の末に勝利して勝ち進んだ。
いずれにしても、日本チームの健闘を祈りたい。