<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:花咲徳栄3-2浦和学院>◇5日◇決勝◇県営大宮球場 4年ぶり秋決勝であいまみえ…

<令和7年度 秋季埼玉県高等学校野球大会:花咲徳栄3-2浦和学院>◇5日◇決勝◇県営大宮球場

 4年ぶり秋決勝であいまみえた2強、花咲徳栄と浦和学院。新チームの歩みは対照的であった。

 花咲徳栄は今年が勝負の年といわれる秋の本命。だが、県大会は昌平、春日部共栄、久喜北陽、浦和麗明など強豪揃いの最激戦ブロックで1回戦から一戦必勝で相手を蹴散らし決勝まで勝ち上がった。

 一方の浦和学院は旧チームが大型チーム過ぎた部分もあるが、新チームはやや小粒で投手陣が野手で守りながら打線にも組み込まれるやや苦しい布陣。それでも豊富な投手力で一戦一戦試合を重ねながら成長しその中で粘り強さに磨きをかけた。

 迎えた決勝の先発は、浦和学院が5試合連続でエース伊藤 漣(2年)。一方の花咲徳栄は「石田はずっと調子は良かったが大事に戦わないといけない秋なんで。ブルペンで調子が良くて本人も行くつもりでいた」(岩井監督)と、背番号11の1年生右腕・石田 凛作(1年)が登板し試合が始まる。

 先制したのは浦和学院であった。

 3回裏、石田はこの回先頭の浦和学院・伊藤にポテンヒットを浴びるなど1死二塁とされ、1番・鈴木 謙心(2年)に中前打を浴びる。二塁走者は一旦ストップもセンターがジャックルする間に、本塁生還し先制を許す。

 1点を追う花咲徳栄は5回表、3回からマウンドに上がった浦和学院の2番手、1年生左腕の佐々木 蓮也に対し、4番・佐伯 真聡(2年)のポテンヒットや四球などで2死一、三塁とし、ダブルスチールを仕掛けるとキャッチャーの二塁悪送球を誘い同点。さらに5番・奥野 敬太(2年)、6番・本田 新志(2年)の連続適時打で一挙3点を奪い逆転に成功する。

 投げては4回からマウンドに上がった1年生左腕・古賀が好投。

 7回裏には浦和学院の反撃に遭い、この回先頭の西村 虎龍(2年)に右越え二塁打を浴びると、6番・玉榮 久豊(2年)にも左前打を浴び無死一、三塁とされる。1死後、8番・伊藤に左前適時打を浴び1点差とされるも古賀は後続を断ち1点で凌ぐ。

 結局古賀が6イニング1失点と最後まで投げ切った花咲徳栄が浦和学院を3対2、1点差で凌ぎ切り2年ぶりの優勝を飾った。

 花咲徳栄はこれで対浦和学院戦の連敗を6でストップ。「古賀は最後ヘロヘロだったから最後まで行く予定はなかったけど、真っ直ぐは制球良く投げていたんで。あとは捕手の佐伯がうまくリードしてくれました。良いボールを引き出してくれたんで、佐伯の経験が生きた。佐伯が安全に行きながら攻める所を攻める」と、指揮官は古賀と佐伯のバッテリーを評価。

 投手陣に関しては「投手陣は誰が行っても良くなったのは収穫。まだ他に1,2人いるので。1年生2人にも学年は関係ない。彼らはずっと作ってきたので。今日はもう1人投げさせる予定だったんだけど、8回うまく3人で抑えてくれたので9回あと1イニングなので行かせた。2人ぐらい走者を出したら代える予定でした。古賀は7回のピンチの場面で三振などで打ち取れたのは大きかった。彼には『ピンチの時に一番良いボールを投げられなかったらエースなんかなれないよっ』て英才教育をしているので。ピンチの時にボールボールってなるようじゃ話にならん。現状三振を取るボールがある訳ではないので『一番良いボールである真っ直ぐを放れ』って話をしてきた」(岩井監督)と、黒川はもちろん、「学校見学に行った時に同じチームの先輩の石塚裕惺さんと話をして徳栄に決めました」と言う、佐倉シニア出身の古賀への期待の大きさを感じる。

 佐伯に関しても「佐伯は1年の秋から守りを買って使っている。1年間苦労しているので本番でビビらない。キャッチャーがビビったら皆ビビってしまう。佐伯が成長してくれました。配球ミス、リードのミスで一辺倒になりがちな時は怒りました。どうしても安全に行ってしまう所があるので突っ込む時は突っ込む。力勝負ができるようになった」と、指揮官の信頼の高さが窺える。

 攻撃面では「後半良い当たりが正面を突き始めて嫌な流れでしたが、あの辺が抜けていればさらに4,5点入っているんだけどそのあたりは決勝戦。さすが浦学さんの守りですね。ダイビングキャッチを2つされたらなかなか点が入らない」と、相手の粘りを認めるも、この日は細かいミスが出た。「浮き足立っているわけじゃないんだけど、初回のバント失敗とか3回の走塁ミスとか、もうちょっとうまくやらないと」と、岩井監督は課題を指摘。

 1位校として山梨県で行われる関東大会へ進む花咲徳栄。「秋の優勝で喜んでいてもしょうがないし、投手は2枚3枚必要だし、嬉しいですけど先を見ている。まずは精査して、連戦続きで体が緩んでいるんで、関東までにしっかりウエイトをやらせたい。バットの振りも鈍くなっているのでもう一回体を作らなければならない」と、指揮官はあくまで通過点であることを強調し、関東大会へもう一度チームを作り直す覚悟だ。