第78回秋季関東地区高校野球大会群馬県予選(県高校野球連盟主催、朝日新聞前橋総局など後援)の決勝が5日、桐生市の小倉ク…
第78回秋季関東地区高校野球大会群馬県予選(県高校野球連盟主催、朝日新聞前橋総局など後援)の決勝が5日、桐生市の小倉クラッチ・スタジアムであった。桐生第一が高崎商大付に3―2で勝利し、4年ぶり9回目の優勝を果たした。両校は18日から山梨県で開催される関東地区大会に出場する。組み合わせ抽選会は9日。関東大会の成績は、来春の選抜高校野球大会の出場校を選ぶ判断材料となる。(中沢絢乃)
■桐生第一、バッテリーが攻守で躍動
◎…桐生第一は今春の県大会で準優勝し、関東大会で8強に進出。当時下級生ながらチームを引っ張ってきた2年生が新チームでも中核となり、秋の優勝をつかんだ。
今大会は猛打が目立ったが、決勝では守備からリズムをつくった。圧巻は、2点リードした四回の守備だ。2死二塁から適時打を浴び、その後2死満塁のピンチを迎えた。「変化球を狙われている」。捕手の森田惺(せいは)(2年)は相手の狙い球を察知し、3球連続で直球を配球した。最後は内角直球を詰まらせて一邪飛に打ち取ると、勢いよくベンチに戻った。
今夏の群馬大会準々決勝で高崎に敗れて「考える野球」を学んだ。「夏は変化球を狙われて相手打者にミートされた。打者の動きを見ながら直球で押す場面など配球を工夫するようになった」。今大会で教訓が生きた。
この日先発登板したのは、背番号11の左腕・長岡拓海(2年)。四回のピンチでは「森田を信頼して投げられた」。
長岡は「ピンチで気持ちを落ち着かせて、抑えられるようになったのが成長点」。この日は最速125キロの直球、最遅87キロのスローカーブと40キロ近い球速差をつけ、完投勝利を果たした。「緩急と制球力は自分の持ち味」と胸を張った。
打線でも勢いをもたらしたのは、長岡だった。三回に内角の直球を振り抜き、先制の右越えソロ本塁打を放った。自身の初本塁打。投打に輝きを放ち、優勝に導いた。
森田も4打数4安打と攻守で大活躍。関東大会に向け、「他県の投手に負けないよう振る力をつける。バッテリーとしても、もっと磨きたい」。選抜出場を目標に、さらなる成長を目指す。
■高崎商大付、1点差に迫りながら惜敗
◎…高崎商大付は2度1点差に迫りながら、一歩及ばなかった。関東大会初出場を決めていたが、選手たちは敗戦後、喜びにわく相手ベンチを厳しい表情で見つめていた。
主将で4番打者の渡辺大夢(2年)は、この日先発登板して七回2死まで3失点と粘投した。「今は我慢。必ず追いつこう」と仲間を鼓舞し続けた。試合後、「こういう試合に勝ちきれないのは自分たちの弱さ。もっと強くなり、関東大会では2勝して選抜出場に近づきたい」と語った。