サッカー選手やチームには、なぜか勝てない「鬼門」とも言うべきスタジアムがある。蹴球放浪家・後藤健生にも、それはあるとい…
サッカー選手やチームには、なぜか勝てない「鬼門」とも言うべきスタジアムがある。蹴球放浪家・後藤健生にも、それはあるという。歴戦のツワモノが苦手とする「3大鬼門」とは?
■E-1選手権で「再び」韓国へ
7月にE-1選手権のために韓国に行ったときの話です。
女子の試合は水原(スウォン)のワールドカップ・スタジアムがメイン会場でしたが、記者席までの導線はとても不思議なものでした。
スタジアムの正面、メインスタンド側中央に大きな入り口がありますが、これは役員やVIPたちの入り口です。記者やカメラマンはその右側の外階段を通って3階まで行かなければいけません。3階まで昇るとそこはコンコースで、中央の建物まで行ってドアを開けると受付があります。そして、今度はエレベーターで1階まで降りるのです。
1階に記者控室や記者会見場などがあって、弁当を食べ終わったら、試合を見るためにスタンドに行ために、さっき降りてきたのと同じエレベーターに乗って今度は5階まで行くのです。
帰りは逆コースで5階 → 1階 → 3階から出て階段を降りるわけです(記者会見はパスして、そのまま3階から帰ってもいいんですが)。
階段を避けて、スロープ状の斜面を昇って3階まで行くこともできますが、これはかなりの距離があります。
どう考えても、不自然です。1階のどこかに入り口と受付があれば、わざわざ3階まで外階段を昇る必要はないのですから……。
■何度も「迷子」になりそうに
「3階まで」。僕たちはともかく、カメラマンは数十キロの重たい機材を担いで階段を昇らなければいけないのです。それに、女子の最終日は韓国を襲った豪雨の初日で、大雨の中を屋根もない外階段を昇っていくのはかなりの苦痛でした。なにしろ、無駄なアップダウンなんですから。
しかし、記者もカメラマンも不平を言うこともなく静かに階段を昇っています。「文句の一つくらい言ってやればいいのに」と僕は思っていたのです。
で、僕は文句を言ったのかって?
いいえ、僕はむしろこの導線に感謝していたのです。
というのは、僕はこのスタジアムに「苦手意識」があるからです。
2017年に韓国で開催されたU-20ワールドカップではこのスタジアムがメイン会場で、堂安律や冨安健洋がいた日本代表もこのスタジアムで南アフリカ、ウルグアイと戦いました。
で、そのとき(も)僕はこのスタジアムで何度も迷子になりかけました。
■「ADカード」がもらえない!
僕は日本の初戦(南アフリカ戦)当日に韓国に到着し、仁川(インチョン)国際空港から水原行きのバスで到着し、ホテルに荷物を置いてからすぐにスタジアムに向かいました。17時キックオフの試合には余裕で間に合うつもりでした。
到着したら、まず行うのがアクレディテーションです。パスポートを見せて、首からぶら下げる「PRESS」のADカードをもらうのです。
簡単な作業ですから時間はかかりません。しかし、そのアクレディテーション・センターが見つからなくて手間取ることも結構あります。
このときもそうでした。FIFAが送ってきた地図にはスタジアム北西側にあるように書いてありましたが、どこにも見当たりません。案内のボランティアに聞いても誰も知りません。警察のブースがあったので尋ねたら、若い警察官が出てきて一緒に探してくれたのですが、それでもなかなか見つからず、結局20分くらい周囲をウロウロしてしまいました。