8月10日に甲子園で記者会見を行った広陵・堀正和校長(C)産経新聞社 現在、甲子園で開催中の第107回全国高校野球選手権…

8月10日に甲子園で記者会見を行った広陵・堀正和校長(C)産経新聞社
現在、甲子園で開催中の第107回全国高校野球選手権大会。8月10日には、SNS上でチーム内での暴力事案が判明した広陵(広島)から出場辞退の申し出があり、大会本部が了承したことが発表された。
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甲子園開幕後に参加校が不祥事を理由に辞退するのは、春夏を通じて史上初。そんな中、海を越えて、大手英紙『The Guardian』が現地時間11日までに「日本を揺るがすいじめスキャンダルで、高校野球大会からチームが撤退」という見出しとともに、詳細を伝えた。
同紙は、日本で最も人気の高いスポーツイベントの一つである夏の全国高校野球選手権大会が、広陵の突然の辞退で「混乱に陥っている」と報道している。
『The Guardian』は「チームの一部メンバーによる後輩選手への暴行が発覚し、批判が高まったことを受けての措置」と説明。また、大会を主催する日本高校野球連盟が今年3月、内部調査で「今年1月に寮で4人の生徒が年下部員を胸を突き飛ばし、平手打ちするなどの虐待行為を行っていた事実」を確認し、学校に厳重注意を行っていたが、「当初は公表していなかった」と伝えた。
暴行の詳細が報道やSNSで広まると、「チーム除名を求める声や爆破予告が相次ぎ、広陵の生徒が登下校時に追われる事案も発生した」とも記されている。被害生徒は加害者の謝罪後、別の学校に転校。警察は刑事告訴を受けて捜査を進め、第三者機関も元部員からの追加告発を調査中だ。
同紙は、広陵の堀正和校長が「生徒と職員を守るため撤退を決めた。深く遺憾に思う」と述べ、教育方法の抜本的見直しを急ぐ考えを示したことや、野球部の中井哲之監督が調査中のため職務から外されたことに言及。さらに、阿部俊子文科相が「許しがたい行為」と非難しつつ、学校関係者への根拠のない中傷をSNSに投稿しないよう呼びかけたことも触れている。
夏の甲子園大会は1915年創設で、全国49代表が参加し、数百万人の観客や視聴者を集める日本最大級のアマチュアスポーツイベントであり、ドジャースの大谷翔平ら多くの名選手を輩出してきたと紹介。同紙は「広陵が大会史上初めて大会開幕後に辞退した学校になった」と指摘し、今回の発表により同校が14日の2回戦(三重・津田学園戦)を棄権することになったとした。
さらに過去の事例として、2015年のPL学園(大阪)による新入部員募集停止や、学校名を伏せた上で2023年に名門校の監督が体罰疑惑によって辞任したケースなどを取り上げ、「こうした不祥事は日本の学校スポーツに根強く残る上下関係の硬直性を反映している」とする批判にも触れた。加えて、高野連が「暴力、いじめ、不合理な上下関係の根絶に向けた取り組みを続ける」との声明を出したことも報じている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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