ボスラーも勢いを示し始めた(C)産経新聞社 野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。…

ボスラーも勢いを示し始めた(C)産経新聞社

 野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。今回はセ・リーグは首位の阪神がマジック点灯と優勝に突き進む中、すでに次の焦点となっているセ・リーグCS争いの行方をクローズアップする。

【動画】広いバンテリンでもこのパワー!ボスラーが豪快アーチを放ったシーン

 プロ野球はいよいよ勝負の8月に突入したが、阪神が止まりそうにない。優勝マジックを着実に減らし、10日終了時点で「M29」とした。10日のヤクルト戦では主砲の佐藤輝明が31号ソロを含む今季2度目の4安打と大暴れ。投げては先発の才木浩人が9回126球の力投で節目の10勝目をマークした。

 主力を休ませながら、投打において「勝てるチーム作り」を着々と固めている阪神に関して佐野氏も「タイガースは相変わらず負けへんなー、と。ほかのチームも爆発力が見えないので追いつくのは相当厳しい状況ですね」と指摘。実質、3位以内を目指すCS争いが激化していくと見る。

 そんな中で最下位と低迷しているヤクルトも主砲・村上宗隆、長岡秀樹と故障組の復帰で、チームに元気が出てきた。それでも佐野氏は「スワローズはまだ全体をかき回すまではいかないかなと。やっぱり僕が気になっているのがドラゴンズですよ」と話す。

 理由の1つが投手力だ。「巨人、DeNA、広島と比較しての強みは投手力が安定していること。それは、接戦になった時に有利となります」。

 心配されていた守護神の松山晋也も戦線に復帰。先発陣は先に完封勝利をあげた高橋宏斗を中心に右、左とも揃っているだけに投手力が強みになるとした。

 さらに2つ目には勢いを見せてきた打線をあげた。「若い選手も出てきているし、外国人のボスラーやチェイビスも日本の野球に対応してきているので勢いつくと面白いと思います」(佐野氏)
 
 新助っ人のジェイソン・ボスラーは10日の広島戦(バンテリン)でも一時逆転となる9号2ランを放つなど、勝負強さを見せた。若手では忍者守備ともいわれる好守も知られる二塁手・田中幹也、「打てる捕手」ルーキーの石伊雄太も打撃で粘りを見せている。

 ほかにも新加入のマイケル・チェイビスは日本デビューとなった7月31日の巨人戦(バンテリン)でいきなり来日初アーチを放つと8月7日の阪神戦(バンテリン)でも2号ソロをマーク。まだ加入後、2週間足らずだが、持前の長打力を発揮している。 

 井上ドラゴンズがセ・リーグCS争いの“台風の目”となるか。佐野氏も今後の戦いぶりに注目していくという。

【さの・しげき】

1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。

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