(28日、第107回全国高校野球選手権奈良大会決勝 天理3―2智弁学園) なんてことない内野ゴロをアウトに。天理は準決勝…

(28日、第107回全国高校野球選手権奈良大会決勝 天理3―2智弁学園)

 なんてことない内野ゴロをアウトに。天理は準決勝でそれができなかった。守備で一目を置かれる遊撃手の赤埴幸輝(3年)でさえ、平凡なゴロを後逸。「相手は去年の準優勝校。緊張もあって、重心が高くなっていた」と振り返る。

 永末峻也(3年)とともに主将を務めるが、今大会は攻守に不調が続いた。準決勝を終えた夜、ともに天理でもプレーした2学年上の兄・克樹に「打撃の調子が上がらない」と電話で悩みを伝えた。

 「自分のことばかり気にしてる。チームのことを気にすればおのずと結果が出る」

 兄からの言葉にハッとした。「自分は守備からリズムを作る。チームのために1個ずつアウトを丁寧に」と誓った。

 迎えた決勝。味方のエラーから七回裏に1点差に詰め寄られ、なおも1死満塁のピンチ。マウンドに内野陣が集まる。「重心を低くして、緊張をほぐそう」と全員でしゃがむと、赤埴が思いを伝えた。「しんどい時こそ、野球は面白い。楽しんでプレーしようぜ」

 赤埴の声かけに仲間も呼応する。二飛で2死に追い込むと、次打者の打球が目の前に飛んできた。

 「変な回転がかかってる。バウンドもするかも」。一瞬のうちに打球を読むと、冷静に捕球し二塁へ。3アウトでピンチを断ち切った。

 この日、智弁学園の遊ゴロは六つ。ファインプレーはない。それでも「1個ずつアウトを丁寧に」と誓った通りのプレーを見せ、昨夏のリベンジを果たした。

 悔しさはまだもう一つ残っている。今春、甲子園で天理は実力を出し切れずに初戦敗退。赤埴も無安打に終わった。

 「とにかくまずは絶対に1勝。勝ち切るイメージを全員で作っていく」。最後の悔しさを晴らしに、甲子園へ向かう。(周毅愷)

■緊迫の接戦、天理が制す

 天理が、最後の1球まで勝敗の行方が分からない緊迫した接戦を制し、昨秋から県内無敗のまま優勝を決めた。天理は1点を追う二回、吉田の中前安打と石井の左翼線への二塁打で1死二、三塁とし、松村が左翼席へ3点本塁打を放って逆転。松村、橋本、長尾の3投手が継投でリードを守った。

 智弁学園は一回、中前安打で出塁した中道が角谷の左前安打で生還し先取。2点を追う七回にも角谷が右前適時打を放って追い上げると、九回には太田の安打などで2死満塁とし、逆転サヨナラの好機を作り、最後まで粘りを見せた。