「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」寺岡 寛治(石川ミリオンスターズ・投手)てらおか・かんじ右投右打 180cm85kg 1992年12月3日生四国アイランドリーグplusの最速152キロ・伊藤翔(徳島インディゴソックス)と並び立つ、20…

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

寺岡 寛治(石川ミリオンスターズ・投手)
てらおか・かんじ
右投右打 180cm85kg 1992年12月3日生

四国アイランドリーグplusの最速152キロ・伊藤翔(徳島インディゴソックス)と並び立つ、2017年日本独立リーグを代表する最速155キロ右腕。今年、外国人強打者対策も含めて「特に使った」カットボールをはじめ、フォーク、スライダー、カーブといった変化球の制球力も高い。昨年11月のルートインBCリーグトライアウトで特別合格を勝ち取り、今季入団した石川ミリオンスターズでは主にセットアッパーを担当。43試合に登板し2勝1敗・防御率1.52。59回3分の1を投げて82奪三振の高い奪三振率が光る。

そんな逸材が24歳までドラフト戦線に現れなかったのは、福岡県粕屋町で生まれた彼の山あり谷ありの野球人生が起因している。町立粕屋西小では内橋ジュニアスラッガーズでソフトボールをプレー。町立粕屋東中では粕屋ボーイズで本格派投手として鳴らし、東海大五(現:東海大福岡)高では入学時から2年までに14キロ球速を伸ばし最速149キロに到達。周囲の注目を集めた。

が、最後の夏を目前に右ひじ痛を発症した寺岡は九州共立大入学後、外野手に転向。2・3年時には疲労骨折だった右ひじ手術からのリハビリに費やし、4年春に福岡六大学ベストナイン(外野手部門)を獲得した実績を手に社会人・九州三菱自動車への入社を外野手として決めた。

そんな寺岡に再び大きな転機が訪れたのは2015年・入社1年目の8月である。この年から投手コーチに就任していた山内孝徳(現:解説者)氏が寺岡の投手経験を知り、投手としての練習を指示。2週間後、オープン戦のマウンドに5年ぶりに立ち投げたストレートはいきなり自己最速を更新する150キロ。これによりこの年と2016年は外野手との「二刀流」で有吉優樹(千葉ロッテ)らの後に控える守護神となることに。そして一度は断念したプロへの道をさらに広げるため独立リーグへのチャレンジを決意し、現在に至っている。

社会人時代はなかなか経験できなかった試合勘もこの一年で大きく積んだ寺岡。理想像「大事な試合を任されて1点差のゲームを守り切れる投手」への入り口がもうすぐ開かれようとしている。