(25日、第107回全国高校野球選手権群馬大会準決勝 東農大二0―12健大高崎 6回コールド) ぐにゃりと曲がるスライダ…
(25日、第107回全国高校野球選手権群馬大会準決勝 東農大二0―12健大高崎 6回コールド)
ぐにゃりと曲がるスライダーと140キロ台の直球を武器に今大会注目投手とされた東農大二のエース山田琉聖(3年)が準決勝の健大高崎戦に挑んだ。初回から得意のスライダーが甘く入ってたたみかけられ、いきなり3点を奪われた。
二、三回は本来の姿を取り戻し、三者凡退に打ち取るが、四回に1点、五回にも3点本塁打を浴び、六回から蛭川敬介(3年)にマウンドを託して左翼に入った。
春夏8回甲子園に出場し、1980年代から90年代にかけて「強豪」の地位を確立した東農大二。しかし、2009年の夏に甲子園に出てからは、久しく晴れ舞台から遠ざかっていた。
しかし、山田の出現で期待感が高まった。昨春の県大会2回戦で前橋商に1―4で敗れたものの好投が光った。昨夏の群馬大会は準々決勝で前橋育英に延長十回タイブレークの末に敗れたが「農二復活」を印象づけた。昨秋には関東大会8強に進出し、選抜は落選したものの補欠校に。
山田だけでなく、左の蛭川も台頭。打線も成長し、関係者の間でも「健大高崎に勝てる筆頭格」とまで言われた。
迎えた健大高崎との準決勝。
試合前、青木一将監督(33)は「同じ高校生だから、相手を大きく見ないで。守備も攻撃もいつも通り攻めていこう」と選手たちに呼び掛けた。昨秋、今春と、相手打者に集中しきれない部分があったという山田。この日は「緊張もあったが、自分の球を堂々と投げることだけを意識して戦った」。
12点を奪われた六回表2死二塁。「最後はエースに」との青木監督の思いから再びマウンドに戻った山田。「戻ってこられるとは思っていなかった。最後を自分に託してくれたんだとうれしくて、楽しくて」。大差をつけられ苦しい展開だったが、笑顔だった。打者1人を内角の直球で打ち取った。
山田は、高校野球生活を振り返り、「大変だったけど、一番成長できた2年半でもあった」。試合後も朗らかな笑顔を見せた。(中沢絢乃)
■健大高崎と前橋育英が決勝進出
第107回全国高校野球選手権群馬大会(朝日新聞社、群馬県高校野球連盟主催)は25日に上毛新聞敷島球場で準決勝があり、健大高崎と前橋育英が勝ち、決勝に進んだ。第1試合は今春の関東王者で昨夏優勝の健大高崎と昨秋の関東大会ベスト8の東農大二が対戦し、健大高崎が六回コールド勝ちした。健大高崎の投手陣は今大会29イニング無失点。第2試合は4年ぶりの甲子園をめざす前橋育英と今大会の台風の目となった高崎が対戦し、前橋育英が五回コールド勝ち。決勝は27日午前10時から同球場で予定されている。
■健大高崎が強打発揮
健大高崎が10安打12得点と強打を発揮し、東農大二を圧倒した。
健大高崎は一回、栗原の安打、小堀、杉山の連続二塁打で3点を先行。四回にも神崎のスクイズで加点し小技も見せた。五回に杉山が今大会自身2本目となる本塁打で3点、六回には栗原の右前適時打や佐伯の3点適時二塁打で一挙5点を奪って試合を決めた。
東農大二はエース山田が初回から攻められ苦しい展開に。打線も散発4安打に倒れたが、守備で再三好プレーを見せるなど、最後まで粘った。
■前橋育英が猛打
15安打17得点と猛打を発揮した前橋育英が、快進撃を続けてきた高崎に大勝した。
前橋育英は一回に新井の犠飛で先制、二回には6長短打、2四球、3犠打飛に敵失も絡め一挙9点を奪って試合の流れを決めた。三回も5長短打で4点を追加、手を緩めず五回には2本の適時二塁打で3点を奪った。
高崎は四回に意地を見せた。鎌田が左前安打で出塁、植松が左中間二塁打で1点かえし、さらに塩谷の犠飛で1点を追加。最後まで気持ちを切らさず、戦い抜いた。