(22日、第107回全国高校野球選手権山口大会準々決勝 下関国際8―1下関商、七回コールド) 準備は万全だった。技も、心…
(22日、第107回全国高校野球選手権山口大会準々決勝 下関国際8―1下関商、七回コールド) 準備は万全だった。技も、心も。
三回裏1死一、三塁。昨夏の準優勝校を攻め立てた場面でも、下関商の坂野聖仁選手(3年)は、落ち着いていた。監督から、スクイズのサインが出た。
3球目。低めのカーブを一塁線に転がし、同点に。「バントがけっこう得意。必ずサインが来ると思っていた」
下位の打順でベンチ入りした昨夏。「打撃力のない自分がレギュラーに定着するには技を磨くしかない」と痛感した。
思い通りの方向に打球を転がすにはどうしたらいいか――。バントの特訓に明け暮れ、少しずつ精度を高めてきた。
強豪相手に追いついたのもつかの間、エースの中村朝陽主将(3年)が四回表に先頭打者から連打を浴びた。「冷静に一つずつアウトをとろう」と声をかけ合ったが、5点を失った。
下関商は県勢で唯一、春の選抜を制し、春夏通算23回の甲子園出場を誇る。ただ、優勝した2015年を最後に準々決勝に進めずにいた。
父と兄は下関商OB。ノーシードながら、1点差の試合を連勝して8強入りした。この日も、「1点差で競り勝つ野球」を心がけたが、七回コールド負けを喫した。
後輩には、「古豪復活」を託す。
「もっと勝ちたかった。来夏こそは頂点に立って、伝統の下商を復活させてほしい」