「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

小久保気 こくぼ・きよし
鹿児島玉龍→四国学院大
投手・右投左打・179センチ78キロ・1995年11月8日生(21歳)

 

 進学校の鹿児島玉龍高時代は2年夏の県8強が最高で、最後の夏は2回戦敗退だったが、「小さい時から、やるなら一番上のレベルまでやりたいという気持ちがありました」と信念を貫いた。

 様々な縁を経て香川県善通寺市にある四国学院大に進学すると、高校時代に最速138km/hだった球速は4年間で148km/hまでになった。変化球もスライダーとフォークに加えて、シュートも習得して投球に幅が広がり、ドラフト候補までのし上がってきた。

 また2年春に味わった大きな挫折も糧にしてきた。1年秋に早くも2勝を挙げて、翌春の
優勝を争う愛媛大との1回戦の先発も任された。だが、制球を乱して序盤で降板。翌日の2回戦も先発を任されたが同じような投球をしてしまい、チームは連敗。優勝争いから脱落してしまった。
「(春で引退する)4年生にとって最後のリーグ戦の大事な試合を壊してしまって、悔しくて申し訳なくて。人生で最も辛い時期でした」と今でも悔しそうな表情で振り返る。
 そこから意識を変え、自主練習の量を格段に増やした。
「下級生の時はただ一生懸命ボールを投げるだけだったのですが、自分のことを客観的に見て、足りないことをしっかり考えるようにました。そうすることで次第に打者も見えるようになってきました」と視野を広げた。

 そして最上級生となった今春にエースとしてチームを4年ぶりの全日本大学野球選手権に導くと、1回戦の東北福祉大戦で5安打完封。優勝候補にも挙がっていた強打線を相手に堂々とした投球を見せ、四国地区大学野球連盟に12年ぶりとなる白星をもたらした。

 今秋は「“自分がしっかりしなくてはいけない”と独りよがりな投球になってしまいました」と振り返るように1回戦で4敗を喫してしまったが、3回戦でことごとく蘇ったかのような投球をするなどして6勝をマーク。何度も追い詰められたが、なんとか春秋連続優勝を掴んで、ドラフト翌日に愛媛県松山市で行われる明治神宮野球大会中国・四国地区大会に駒を進めた。

 幼い頃から思い描いてきた夢の続きは、NPBとなるか、まずは社会人野球となるのか。その1つの答えがまもなく出るが、どのステージに行こうとも真摯に夢に向かっていく姿勢が変わることはない。
 
文=高木遊、写真=寒川朋子