<2025年全国高校野球選手権東東京都大会:帝京3-1成立学園(延長10回タイブレーク)>◇18日◇4回戦◇明治神宮球場…

<2025年全国高校野球選手権東東京都大会:帝京3-1成立学園(延長10回タイブレーク)>◇18日◇4回戦◇明治神宮球場

 帝京と成立学園は春季都大会でも対戦し、この時は13―1の5回コールドで帝京が勝っている。けれども帝京の金田 優哉監督は「夏ですからね」と語り、春のようにはいかないと、考えていた。しかも成立学園は背番号11の1年生・横山 和也を先発させた。横山は3回戦でも登板しており、この帝京戦で先発することも、金田監督はある程度想定しており、「投げっぷりがいいです」と語る。

 成立学園は横山の要所を抑える投球にてこずる。牽制死も2つあり、なかなかチャンスが広がらない。

 それでも5回表に一死一、二塁から帝京は、3番・村松 秀心外野手(3年)が中前適時を放ち1点を先制する。けれども、なおも一死満塁のチャンスが続いたが、追加点を挙げられなかった。

 それでも帝京の先発、背番号18の坂本 佑弥(3年)の投球は、危なげがなかった。「安定していたので、配球がしやすかったです」と飛川 洸征捕手(3年)は言う。

 坂本は身長176センチ、体重71キロと、帝京の中にあっては細身だ。それでも肩甲骨の可動域が広く、投球フォームがしなやかで、球に伸びがある。最速は144キロで、回転数は2400ほどで、チーム内で最も回転数が高い。

 さらにスライダー、カーブ、チェンジアップなどを投げる。

 7回まで単発3安打に抑えていた坂本だが、8回裏に成立学園打線につかまる。8番・熊田 剣心内野手(3年)、代打・鮎澤 遙海内野手(3年)の連続二塁打で1-1の同点になる。「球が中に入ってしまいました」と坂本は言う。

 試合は1-1のまま延長タイブレークに入る。成立学園は先発の横山が6回まで投げて、7回からは左腕の渡部 遼太朗(3年)、エースの岩瀬 陸真(3年)とつなぐ。一方、帝京の坂本は1人で投げ抜く。もっとも坂本の投球数は9回が終わった時点で88球だった。

 無死一、二塁から始まるタイブレークで帝京は、9番の坂本から始まる。代打も考えられる場面であったが、「坂本はバントもうまい」と、金田監督は言う。その期待通りしっかり送って一死二、三塁。1番・酒井 大雅外野手(3年)の中犠飛で、1点を勝ち越す。ただしタイブレークで先攻のチームは、次の1点が入るかどうかが、大きな意味を持つ。そして打席に入った2番の飛川は初球を叩いて中前安打を放ち、貴重な1点を追加する。実は飛川は、春季都大会の成立学園戦も3安打を記録している。岩瀬からも安打を放っており、「春はインコースを打ちましたので、今度は外が来るぞと狙っていました」と飛川。春の大会の記憶も生かして放った、狙い通りの貴重な一打で帝京がリードを2点にした。

 2点のリード受けて10回裏のマウンドに上がった坂本は、併殺もあり、わずか3球で仕留めて、試合終了。帝京が苦しみながらも成立学園を破り、5回戦進出を決めた。

 坂本は10回を投げての球数がわずか91球。被安打5、四死球1、奪三振5、失点1の好投だった。坂本は8年前、修徳の投手と内野手の二刀流で活躍した、坂本 大起(現全府中)の弟だ。坂本大起は身体能力の高い選手だったが、弟の佑弥もまた、兄を彷彿させる身体能力の高さをみせている。兄は東東京大会の準々決勝で敗れている。兄が届かなかった甲子園に向けて、厳しい戦いが続く。