― 安全に楽しむために、知っておきたい医療のポイント ― 夏といえば、やっぱり海!家族や友人と出かけて、泳いだり、砂浜で…
― 安全に楽しむために、知っておきたい医療のポイント ―
夏といえば、やっぱり海!
家族や友人と出かけて、泳いだり、砂浜で遊んだり、マリンスポーツを楽しんだり…。
海にはたくさんの魅力がありますが、一方で事故やトラブルも起こりやすい場所であることを忘れてはいけません。
私たち医療者の視点から、「海遊びでよくあるケガや疾患」「予防のポイント」「万が一の時の対処法」についてまとめました。
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■ 海遊びで注意すべきケガ・トラブル
1. 日焼け・熱中症
海辺では直射日光に加えて、砂浜や海面からの照り返しもあり、思った以上に強い紫外線を浴びます。
熱中症と同時に重度の日焼け(皮膚のやけど)になることもあります。
対策
・日焼け止めはウォータープルーフを選び、こまめに塗り直す
・帽子やラッシュガードの着用
・水分と塩分の補給を定期的に行う(のどが渇く前に)
2. クラゲや海中生物による刺傷・咬傷
夏の終わりにはクラゲによる被害が増えます。刺されると激しい痛みや腫れ、水疱、かゆみが生じ、アレルギー反応が出る場合もあります。
対策と対応
・海に入る前に「クラゲ注意報」の有無を確認
・刺されたらすぐに海水で洗い流し、酢や熱めの湯(40~45℃)で痛みを緩和
・アナフィラキシー様反応があれば速やかに医療機関へ
3. 足の切り傷・刺し傷(サンゴ・貝・ガラスなど)
裸足で歩くことで、鋭利な貝殻や石、海のゴミなどで足裏を傷つけることがあります。
対策
・マリンシューズの着用を習慣に
・けがをしたらすぐに真水で洗浄・消毒し、破片が残っていないか確認
4. 溺水・波にさらわれる事故
海の事故の中で最も命に関わるのが「溺水」です。波や離岸流(リップカレント)に足を取られてしまい、自分ではどうにもできない状況になることも。
対策
・ライフセーバーのいる海水浴場を選ぶ
・子どもからは絶対に目を離さない
・体調が悪いときや飲酒後は絶対に海に入らない
・「浮く」「呼ぶ」「待つ」ことを子どもにも教える
■ 海遊びと感染症
意外と知られていないのが「海での感染症」です。
傷口から細菌が入り「蜂窩織炎」や「壊死性筋膜炎」を引き起こすケースもあります。特に糖尿病などで免疫が低下している人は注意が必要です。
対策
・小さな傷でも海水に触れた後はすぐ洗う
・腫れや痛み、発熱が出たら早めに受診する
■ 海遊びを安全に楽しむために
医療者としての一番のアドバイスは、「過信しないこと」。
自分は大丈夫、浅瀬だから大丈夫、ちょっとくらいなら…
そんな「油断」が海の事故や体調不良を引き起こします。
◆ 準備と確認が重要
・天気予報・潮の満ち引き・クラゲ情報のチェック
・熱中症予防のための水分・塩分の携帯
・万が一に備えて、周囲に助けを呼べる体制をつくっておく
夏を楽しく、そして安全に。
海遊びをもっと安心して楽しむために、正しい知識と備えを持ちましょう。
[文:池尻大橋せらクリニック院長 世良 泰]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
池尻大橋せらクリニック院長・世良 泰(せら やすし)
慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人スポーツチームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。