(14日、第107回全国高校野球選手権群馬大会2回戦 勢多農林12―2渋川工 5回コールド)(八木正則) 渋川工の男子…
(14日、第107回全国高校野球選手権群馬大会2回戦 勢多農林12―2渋川工 5回コールド)(八木正則)
渋川工の男子マネジャー小熊航太朗(3年)はノッカーや打撃投手として練習を支え、グラウンド周辺の環境整備やデータ分析にも尽力し、チームに貢献してきた。「なくてはならない戦力」と選手や指導者は言う。今大会は背番号20をつけてベンチ入り。チームは4年ぶりに公式戦で初戦を突破して2回戦で敗れたが、ともに最後の夏を戦った。
群馬県みなかみ町出身。小学生の頃から野球を続けたが、高校で野球部に入るつもりはなかった。渋川工の前監督から選手として勧誘された。野球は変わらず好きだ。そこで、「マネジャーとして入るのはどうですか」と自ら提案した。
中学にはマネジャーはおらず、マネジャーの仕事は初めて。試合のスコアをつけていると選手よりも野球のルールに詳しくなり、ベンチから試合を俯瞰(ふかん)して選手たちにアドバイスできるように。「選手だった時より楽しい」と感じた。
工業高校らしい取り組みにも力を発揮した。グラウンドの整地に使うトンボやカウント表示器をペンキで塗装してきれいにしたり、グラウンド脇の小屋の中にカーペットを敷いて内装を整えたりと、練習環境の整備にも尽くしてきた。チームメートからは「DIY系マネジャー」と呼ばれる。
また、選手たちの打撃成績などを一から表計算ソフトでまとめた。狩野樹(たつき)主将(3年)は「数字で見えるようになると課題がはっきりしてくる。打たなきゃ、練習しなきゃとモチベーションが上がった」と話す。
「野球を続ける上で、高価な用具がハードルになることもある。そんな人にもマネジャーという選択肢があると伝えたい」と小熊は話す。
部員は小熊を含めて20人。2021年夏の群馬大会で1勝して以降、公式戦で勝利できていなかった。小熊は「ずっと負けのスコアを書いてきた。入部後初の勝ちのスコアを書きたい」と最後の夏に臨んだ。
チームは8日の1回戦、四ツ葉学園・玉村・下仁田の連合チームに4―0で勝利。2回戦の相手は好投手の蓬田(よもぎだ)正太郎(3年)を擁する勢多農林。二回裏に連打を浴びてリードを広げられたが、三回表には狩野らの3長短打で2点を返した。「野球は何があるか分からない。まだまだチャンスはある」。そう信じたが、さらに点差をつけられ、2―12(5回コールド)で敗れた。
小熊は試合前のシートノックで外野のノッカーを務め、試合中は記録員としてベンチで試合を見つめた。
試合後、小熊は「入部したときよりも、さらに野球が好きになれた。とても充実した楽しい2年半だった。みんな、1勝を挙げてくれてありがとう」。小野雄平監督(29)は「チームのために苦労をいとわず、ありとあらゆる裏方をこなしてくれた。本当にチームを愛してくれていた」とねぎらった。(中沢絢乃)
■群馬大会ベスト16出そろう 桐生市商・小野が3安打完封
第107回全国高校野球選手権群馬大会(朝日新聞社、群馬県高校野球連盟主催)は14日、2球場で2回戦4試合があり、ベスト16が出そろった。今大会すべてのシード校が3回戦に進んだ。
シードの前橋商は西邑楽との初戦を2―0で競り勝った。西邑楽は敗れたものの、エース石川が3被安打2失点と好投し、食い下がった。
シードの桐生市商が太田に5―0で快勝。エース小野は3被安打完封勝利。4番・多田の3点本塁打などで三回に一挙4点を奪った。
昨夏ベスト4の樹徳は、昨年秋の県大会でベスト8に入った高崎東に9―0(7回コールド)で勝利した。
勢多農林は渋川工に12―2(5回コールド)で勝ち、9年ぶりの3回戦進出を決めた。
19日から3回戦が始まり、同日は2球場で4試合が予定されている。