(14日、第107回全国高校野球選手権東東京大会、帝京12―0新宿=5回コールド) 点差は7点。あと3点取られたらコール…
(14日、第107回全国高校野球選手権東東京大会、帝京12―0新宿=5回コールド)
点差は7点。あと3点取られたらコールド負けだ。四回裏1死一、二塁でマウンドに上がった新宿の生田琉晟(3年)は、気合を入れた。「しっかり抑えたい。自分の全力をぶつける」
だが、ストライクが入らない。連続四球。その後も相手の勢いを止められず、コールド負けが決まった。20球のうち、与えた四球は三つ。「抑えたい気持ちはあったのに……。打たれて負けたというより、自分から崩れてしまった」
今大会は一つ勝てば第2シードの帝京と当たる組み合わせだった。「帝京、やべえぞ」。でも、「帝京に勝ったら、新宿はもっと、やべえぞ」。大会前から、二つの「やべえぞ」が、チームの合言葉になった。
みんなで帝京の試合映像を見て、打者や投手の特徴を研究した。アッパースイング気味の打者もいれば、低めの球に強くない打者もいる。どんな球を投げれば抑えられるか――。イメージトレーニングをしながら当日を迎えた。
チームは二回までは狙い通り無失点に抑えたが、2巡目以降につかまった。
試合前の整列では、「でかいな」。ベンチ前のスイングを見ては、「迫力がある。当たったら、怖いな」。思っていた以上に、伝統のストライプのユニホームを着た選手たちは「やばかった」。それでも、自信のあるカーブで空振りを取ることができたし、打たれた安打は1本だけ。それだけに、「もっとストライクが入っていたら、勝負できていたかも」とも、思う。
試合後はすがすがしい表情だった。この1カ月、充実した日々を過ごせたから。強豪に挑んだ72分間。「しっかり準備をして、負けた。やりきったし、これが今出せる限界なのかなって」=14日、神宮(野田枝里子)