浦和学院は春季埼玉大会を優勝 春季高校野球埼玉大会で3年ぶり18度目の優勝を遂げた浦和学院に今春、35人の新入生が入った。そのうち春の登録メンバー25人に2人のニューカマーが名を連ね、初の公式戦に臨んだ。ともに右投げ左打ちの内野手、大宮翔と…
浦和学院は春季埼玉大会を優勝
春季高校野球埼玉大会で3年ぶり18度目の優勝を遂げた浦和学院に今春、35人の新入生が入った。そのうち春の登録メンバー25人に2人のニューカマーが名を連ね、初の公式戦に臨んだ。ともに右投げ左打ちの内野手、大宮翔と法量章太郎。埼玉きっての名門野球部を担っていく人材である。
中学3年の春、そろって心は浦和学院にあった。
大宮は侍ジャパンU-15代表として、昨夏の第6回WBSC U-15ワールドカップの初優勝に貢献。プエルトリコとの決勝では、9番・二塁で先発し2安打1打点の活躍で世界一に輝いた。宮城県生まれで東北楽天リトルシニア出身。昨年3度出場した全国大会では、リトルシニア全国選抜大会で4強入りするなど、世代を代表する二塁手でもある。
「将来はプロ野球選手になる目標があり、その夢を実現させるのに一番近いのが浦和学院と中学の頃から思っていた。自分は強肩じゃないし足も速くありません。この弱点を長所に変え、よりレベルアップするためにこの学校を選びました」
千葉県出身の法量は、全国大会を8度制した強豪・佐倉リトルシニアからの入部。リトルシニア全国選抜大会に2度出場し、2年生の時に3回戦まで進んだが、チームとして好成績は残せなかった。それでもパンチ力とミート力を兼ね備えた打撃センスには定評があり、ヘッドスライディングをいとわないファイターだ。守備は三塁と遊撃をこなす。
1年生が入寮して大変だったことは?
「プロになることと甲子園出場が夢なので、それをかなえるには浦和学院に入るのがベストだと判断したんです。入部して最初に実感したのが、先輩のレベルがものすごく高かったことです。やっぱり自分の夢に一番近い学校なんだなって」
森大監督によると、最近の新入生は野球部の価値観や練習様式などに共感する選手が多いそうだ。「練習にメリハリがあって、明るさもあると中学生が話しているのをよく耳にします。こんなところを見て入部してくれるのですね」と説明する。
昔ながらの厳しいだけ、辛いばかりの環境は現代っ子には敬遠される。では寮暮らしの二人にとって今、何が一番しんどいことなのか? 異口同音にこう言った。
法量が「洗濯機だとユニホームの汚れが取れず、ブラシを使って手洗いするのが大変です。頼めば何でもしてくれた母に感謝しないといけない」と言えば、大宮も「自分も洗濯が一番きついですね。洗濯や練習場への送迎は母が全部やってくれたので、親のありがたみを痛感しています」と言って、つらい作業によって親への思いが深まったわけだ。
春季大会で背番号14の大宮は、代打や守備で3試合に出場し2打数無安打。背番号25の法量は決勝で9回の守備に就いただけ。捲土重来を胸に秘めたことだろう。
これから、7月9日に開幕する第107回夏の甲子園出場をかけた埼玉大会に向けた自分との戦いが始まる。
大宮は「西田(瞬)先輩が自分と同じ二塁手なので、シートノックなどを後ろで見させてもらって勉強しています」とプロ入りを目指す主将の背中を追い掛ける。法量は「同学年には負けたくない。練習ではフラフラになるまで、100パーセントの力を出し切っていきます」と、ふたりとも初々しい顔付きの中に飽くなき闘争心をたぎらせた。(河野正 / Tadashi Kawano)