陸上女子100メートル障害の元日本記録保持者で、2021年東京五輪代表の寺田明日香(35)=ジャパンクリエイト=が15日、都内で記者会見し、今季限りで競技の第一線を退くことを表明した。来季以降は日本選手権には出場せず、全国の大会や記録会を…
陸上女子100メートル障害の元日本記録保持者で、2021年東京五輪代表の寺田明日香(35)=ジャパンクリエイト=が15日、都内で記者会見し、今季限りで競技の第一線を退くことを表明した。来季以降は日本選手権には出場せず、全国の大会や記録会を巡る予定。現在は9月の東京世界陸上の代表選考会に位置づけられている7月の日本選手権に照準を合わせ、練習に励んでいる。
笑いと涙で顔をくしゃくしゃにしながら、寺田は「今シーズンをもって競技者としての第一線を退くことを決意いたしました」と表明した。今季で22年目の陸上生活。9月の東京世界陸上出場を目指し、7月の日本選手権に「集大成として臨む」と誓った。
会見冒頭から、これまでの軌跡をたどった映像が会場で流れ、涙腺崩壊。「陸上競技は私の人生を豊かにしてくれた」としみじみと振り返った。来季以降は全国の大会や記録会を巡るため、あえて引退とは言わず、「いろんな世代の競技者とガチンコレースをしたい」と目を輝かせた。
唯一無二の競技人生だった。全国高校総体で3連覇。社会人1年目からは日本選手権で3連覇を果たした。13年に一度競技から離れ結婚、出産。16年夏に7人制ラグビーへ競技転向し現役復帰。19年に陸上に戻ると、同年に日本選手初の12秒台をマークした。東京五輪に出場した21年には日本記録を2度更新するなど、誰にもまねできない伝説級の経歴を残した。
シーズン前のタイミングでの発表は「新庄戦法が良かった」と笑う。06年シーズン序盤のお立ち台で、突如引退発表をした日本ハム・新庄監督に「ちょっと憧れた」といい、「新庄さんが『今年で辞める』って言って、皆さんがすごく見に行った。新庄さんみたいにはなれないけど、私も先に言うことで、最後の本気の走りを多くの方に見に来てもらいたいと思った」と語った。
有終の美を飾るため、9月の東京世界陸上への出場を目指す。「(まずは)日本選手権を勝ちにいきたい。勝ち逃げしたいという思いを持ってやっていきたい」。“ママさんハードラー”は最後まで全力で挑戦し続ける。
◆寺田明日香(てらだ・あすか)1990年1月14日、札幌市出身。恵庭北高時代は100メートル障害で総体3連覇。卒業後は北海道ハイテクノロジー専門学校に進み、日本選手権3連覇を達成。13年に一度現役を引退し、14年3月に結婚。同8月に長女・果緒ちゃんを出産した。16年に日本ラグビー協会のトライアウトに合格し、7人制ラグビーにも挑戦。18年11月に陸上に復帰し、21年6月に12秒87の日本記録(当時)を樹立。東京五輪では準決勝進出を果たした。