NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン2 第11節2025年4月12日(土)12:00 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)レッドハリケーンズ大阪 31-48 花園近鉄ライナーズ…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第11節
2025年4月12日(土)12:00 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 31-48 花園近鉄ライナーズ
世界最高のリーグに相応しい体験を作る。地道な努力が実を結んだD2史上最多の“12,452人”
杉下キャプテン(写真左)以下、スタンドの観客に万感の思いで一礼するレッドハリケーンズ大阪の選手たち
陽光うららかなヤンマースタジアム長居で行われたディビジョン2第11節。レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)と花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が対戦した。
花園Lは、序盤から3本のトライを奪って大きくリード。RH大阪も徐々に追い上げて後半25分には5点差に詰めたが、花園Lがさらにトライを重ねて48対31で勝利。大阪府内にホストエリアを置く両者の誇りを懸けた“大阪ダービー”は、今季は互いにビジターゲームで勝ち点5を獲得する痛み分けで決着した。
RH大阪は「大阪になくてはならない存在になっていく」ための目安の一つとして、昨季までと同様、観客数にもこだわっている。今季が始まったころから、自ら樹立していたD2最多観客数を更新するターゲットをこの“大阪ダービー”に設定し、他のホストゲームと並行して準備してきた。試合前日には中央区と連携協定等を締結して大阪市24区すべてとの絆を確かなものにし、第3節でNECグリーンロケッツ東葛が10,646人に更新していた記録を再度塗り替え、12,452人に更新した。RH大阪がホストゲームで1万人以上を集客したのは、これが初めて。区民アンバサダー活動などで地道に重ねてきた日々の取り組みが示される機会となった。
DIVISION 2での最多入場者数となった12,452人の観客が集まったヤンマースタジアム長居 (大阪府)
ビジターチームの花園Lにとっても、1万人を超える観客の前でプレーするのは今季初めてだった。ホストエリアから近いこともあって、花園Lファンも多く駆け付けて声援を送っている。この試合で勝利に貢献するハットトリックがあった江川剛人は、急なメンバー変更でリザーブに入り、試合でもセミシ・マシレワの負傷によって想定よりもかなり早い前半17分に試合に入っていた。難しい状況下ではあったが、スタンドからの声援が支えになって「気負わずに入れた」と振り返っている。
大きな声援は「苦しい状況でも、力になってくれる」(RH大阪/土橋郁矢)。一つひとつのプレーに対する「まるで地鳴りのような歓声」(RH大阪/山口泰輝)を受けた選手たちは、さらに集中を高めてプレーの質を上げる。そして、観客はより一層ゲームに引き込まれる。両者の地元を代表する誇りは、多くの観客の心を躍らせ、最高の体験を生む非日常空間を作った。
ディビジョンや国を代表する選手を擁する数がすべてではない。ホストエリアの地域を代表して戦う、地元のヒーローがそこにいる。次の週末も、それぞれのチームが日本各地で世界最高の名に相応しいリーグワンの試合をファンとともに作ってゆく。
(前田カオリ)
レッドハリケーンズ大阪
レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(右)、杉下暢キャプテン
レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「この試合の開催にあたってご尽力いただきました関係者の皆さま、ありがとうございます。花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)のみなさんにもこの試合をともに盛り上げていただき、感謝しています。そしてなにより、観客数が1万2千人を超えるほどに多くの大阪市民の方に集まっていただき、ともに戦えたことをとてもうれしく思っています。
残念ながら、結果としては追い付くことはできませんでしたが、われわれが成長したいと思っていた部分、例えばスコアを取り切るというところなど、多くの成長を感じることができたことは良かったと感じています。とはいえ、簡単なミスやインターセプトされるところなどもありました。そういった部分は修正しながら、自分たちの強みをしっかり生かし、残りの3戦を戦いたいと考えています」
──ディビジョン2の最多観客数を更新する12,452名が来場した試合でした。何か感じたことがあれば、教えてください。
「苦しい場面でも最後の一歩が踏み出せたり、つなぐことができたりなど、やはりみなさんからエナジーをもらうというか、元気をもらってプレーできたのかなというふうに感じています。最初に3本のトライを取られましたが、落ち込むようなところであっても1本取り返し、さらにまた取り返すということができていました。自分たちの(積み重ねてきた)頑張りももちろんありますが、会場に来ていただいたみなさんにエナジーをもらったからだと思っています」
──前半はモールで押すシーンがありましたが、後半はラインアウトではなくペナルティゴールを選択される場面もありました。どういった判断があったのでしょうか。
「スコアの方法はモールだけではないので、ペナルティゴールという選択もあってしかるべきだと思っています。点差でなるべく相手にプレッシャーを与えたいという考えもありましたので、後半のあの場面では(ペナルティゴールが決まれば5点差に縮まるので)、ラインアウトからのモールではなく、ペナルティゴールという選択でした」
──前回、第3節で花園Lと対戦したときと、何か違いはありましたか。
「花園Lさんは、お互いにプレッシャーが掛かるようなシーンで、前回よりも崩れなかった印象はありました。われわれはそういった場面で勝り、スコアを取っていきたいところでしたが、花園Lさんは最後までつなぎ続け、スコアまでつなげました。キャリーやコンタクトで強いランナーが多くいるので、前進を許してしまいました。そうしたところが敗因になりました」
レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン
「まずは、この試合の開催にあたってご尽力くださった皆さま、本当にありがとうございました。レッドハリケーンズ大阪としましては、直近3試合で先制点を取られる形で試合に入ってしまっていたので、今日はファストスタート、まずは自分たちが仕掛けていこうというマインドセットで挑みました。アンラッキーな部分もあってインターセプトされる形で先制トライをさせてしまったことは、反省すべきところです。ただ、そこからしっかり盛り返し、一時は点差を5点に縮め、逆転できる圏内まで追い上げることができました。その後はスクラムでのエラーやハンドリングエラーでモメンタムを失い、相手に突き放されてしまいましたが、自分たちが成長しているモールや中盤でのアタックの継続は十分に見せることができたと感じています。引き続き大阪市の皆さまに熱い試合をお見せできるよう、レベルアップしていきます。本日はありがとうございました」
──ディビジョン2の最多観客数を更新する12,452名が来場した試合でした。何か感じたことがあれば、教えてください。
「本当に、エナジーをもらうことができたなと感じています。前半は、本当に苦しい点差になってしまった時間帯もありましたが、そのときに『これだけの方が来てくださっている。もっと熱い試合を見せなあかんやろ』と話しました。みんなもそれに反応し、盛り返すことができました。それは絶対にファンのみなさんの応援があってこそだと思いますし、本当に力になりました」
──前回の第3節で花園Lと対戦したときと、何か違いはありましたか。
「この試合で花園Lさんの良さを感じたのは、22mラインに入ったとき、シンプルに強いキャリアーをどんどん当ててきたというところでした。もちろん、われわれも花園Lさんが最近そういうプレーをしていることは知っていましたので、そこでしっかりロータックルをしていこうと話していましたが、そこで食い込まれて外が余ってしまう構図ができてしまっていました。それは、前回の対戦のときよりも花園Lさんがレベルアップされている部分だと感じました」
──試合前日の中央区との連携協定締結によって、大阪市内の24区すべてと連携協定を締結したことになりました。どのように感じていますか。
「23の区と連携協定を締結し、そのあと数カ月空きましたが、こうして大阪市内のすべての区と連携協定を結べたことは本当にうれしいことです。単発で終わらせるのではなく継続していき、年を重ねるごとに大阪市内のそれぞれの区とのつながりをより深めていくことができればと思っています」
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズの向井昭吾ヘッドコーチ(左)、パトリック・タファ キャプテン
花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。非常に良い環境の中でゲームができて良かったと思っています。前回ホストゲームで敗れていましたので、そのリベンジをするというところで、接点で負けないこと、勝ち点5を取って勝つということをターゲットにしていました。選手たちはよくやってくれたと思っています。私たちは一戦必勝でいかなければ、もうあとがないという状況です。これくらいペナルティが多くなるとやはり相手も攻めてくるので、そこは修正して次のゲームに向かっていきたいと考えています。本日は、勝ち点5を取って勝てたこと、コンタクトで自分たちのペースができたということは良かったと思っています」
──試合当日に江川剛人選手が急きょメンバー入りし、試合でもアクシデントによって前半17分に交替出場されましたが、3トライを挙げました。今日の江川選手のプレーはいかがでしたか。
「ウイングについては江川も含めて、片岡(涼亮)や木村(朋也)など、レベルが高い選手がいます。誰が出ても、プレーはある程度してくれるという自信はありました。(第3節から)今まで出られなかった気持ちを出した今日の江川のプレーだったのではないかと思います」
──途中出場したメンバーについての評価をお願いします。
「テストをかなりやっていましたので、メンバーを入替してもある程度のプレーをしてくれることに自信はありました。今日はこれだけのファンの前でプレーできましたが、これくらいのプレーができる選手がウチのチームにはまだいる、選手(層)が少し厚くなってきたということをみなさんに感じていただけていればいいなと思います。(急なメンバー変更などの)アクシデントがありながらも、チームとして結果を残せたので、実力が少し付いてきたのかなと思っています」
──1万人を超える観客の前での試合は今季初めてだったかと思いますが、何か違いはありましたか。
「ウォームアップのときからコミュニケーションは大きな声で取りましょうと話をしました。サインプレーも、(歓声で)なかなか聞こえないので。少しのコミュニケーションミスでもミスが起こりますので、コミュニケーションは大きな声で伝えるように言いました。たくさんの人に見られているということは、やはり自分のプレーを雑にはできないので、選手たちにとって非常に良い環境の中でやらせていただいたというふうに思っています」
花園近鉄ライナーズ
パトリック・タファ キャプテン
「素晴らしい環境があって試合ができ、本当に幸せでした。大阪ダービーということで、私たちはいつも以上に気合いが入っていました。前回の対戦では負けていたので、ヘッドコーチが話したとおり、本当に勝つ気でこの試合に臨みました。フィジカルなゲームになることは予想していて、80分をとおしてやらないと勝てないということは分かっていました。コリジョンバトルで負けずに勝つということにフォーカスして準備してきましたが、フォワード陣は本当にそれを体現してくれたと感じています。ミスや規律の部分に関してはまだまだ修正が必要で、来週の練習でまた取り組んでいこうと思いますが、D1/D2入替戦に向けてチームをこの状態までもっていきたいと考えていたところにもってくることができたと今日は感じています。ありがとうございました」
──後半は特にペナルティが多くなっていました。原因はどういうところにあると感じましたか。また、その際、チームでどのような話をされましたか。
「テンポが速くなったところで、ミスが生まれたり規律が乱れたりしました。個人個人が役割を徹底して果たすことができていなかったからだと思います。『それぞれが責任を持って自分の役割を果たそう』という話をハドルでしました。一貫性をもってプレーできるよう、感情的にならず、勢いに負けてプレーすることがないよう、話しています」
──1万人を超える観客の前でプレーするのは今季初めてだったかと思いますが、何か違いはありましたか。
「1万人を超えていたんですね。そのようなたくさんの方がいる中でプレーできたことを本当に光栄に思います。大阪のチーム同士のプライドのぶつかり合いだというところも大きかったのだと思います。この試合のウォームアップ前、メンバーには『とてもエナジーを感じるから、このエナジーを自分たちのパワーに変えて、楽しもう。これだけの人が見てくれているから、見てくれている人たちのためにプレーしよう』と話しました」