「巨人0-1阪神」(6日、東京ドーム) 阪神の先発・門別が5回2/3を5安打無失点に抑えて、待望のプロ初勝利を挙げた。北海道出身の高卒3年目左腕の初勝利を、デイリースポーツ評論家で同じ北海道出身の大先輩、佐藤義則氏(70)も祝福。門別の成…
「巨人0-1阪神」(6日、東京ドーム)
阪神の先発・門別が5回2/3を5安打無失点に抑えて、待望のプロ初勝利を挙げた。北海道出身の高卒3年目左腕の初勝利を、デイリースポーツ評論家で同じ北海道出身の大先輩、佐藤義則氏(70)も祝福。門別の成長を語るとともに、今後の活躍へ向けて球速の大切さについて言及した。
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真っすぐを制球良く投げきれるのが門別の持ち味だが、その一方で課題は変化球だった。これまでは腕が緩んだりして制球に苦しむところもあったが、スライダーやフォークでカウントを稼げるようになったところが大きな成長だろう。この試合は特にフォークがいいところから落ちて空振りを取ることができた。
前回の広島戦(3月30日)はフルカウントになるケースが目立ち、球数も増えてしまったが、この日は有利なカウントから早めの勝負もできていた。五回はヘルナンデス、中山を2者連続でフォークで空振り三振。早めに追い込んで難しい球を振らせるという投手にとって大事なことができていた。四球は一つで被安打も5。五回を除いて先頭打者を出さなかったところも良かった。
高卒1年目から1軍登板のチャンスをもらい、3年目で先発ローテに入ってプロ初勝利。彼の持っているポテンシャルからみれば、もっと早く勝てるかなと思ったけど、それでも順調にステップを踏んでいる。
1年目は変化球はカーブぐらいしか使えなかったが、去年あたりからスライダーやフォークを覚えて投球が組み立てられるようになってきた。やはり変化球でストライクを取れないと、なかなか打者とは勝負できない。変化球を捨てられ、ストレートを狙われるからだ。門別に限ったことではないが、やはり普段から変化球でストライクを取れるように練習しておかないといけないということ。ボール球はいつでも投げられるわけだから。変化球でカウントを稼げるようになれば投球の幅はぐっと広がる。
力感の抜けたフォームからキレのいい球を投げ込んでいた門別だが、この日のストレートは最速144キロで、140キロ台前半が多かった。本人いわく「キャッチボールのようなイメージで」ということのようだが、今のフォームだと、これぐらいのスピードしか出ない。きょうの投球がいい悪いということではなく、もっとスピードを出したいと思うのなら、体全部を使ってボールに力を伝えていかないといけない。
確か去年までは150キロ前後のスピードは出ていたと思うが、今のフォームを続けていると、このままで止まってしまうだろう。投手にとってスピードは一番の武器であり魅力でもある。この試合で門別を救援した工藤がいい例だ。あれだけのスピードがあるから打者も脅威に感じるし、変化球もより生きてくる。
門別には、まだ若いのだからスピードへのこだわりを持ち続けながら、いろんなことを覚えていってほしい。目いっぱい投げて145キロではなく、150キロ出せるけど、あえて抑えて145キロという形がいい。スピードアップというのは簡単なことではない。だから、出せるときにしっかり出しておかないと、いざ出したいと思っても出ないもの。同じ北海道出身として今後の活躍を期待して助言させてもらった。