階級を超えた“王者vs王者”の異例ともいえる頂上決戦は、最終ラウンドで戦慄の左ストレートが炸裂。強烈な一撃を撃ち抜かれ、ダメージ耐え切れず時間差でぐにゃりと崩れ落ちる衝撃KOに会場が騒然となった。【映像】時間差で崩れ落ちる衝撃KO 3月3…
階級を超えた“王者vs王者”の異例ともいえる頂上決戦は、最終ラウンドで戦慄の左ストレートが炸裂。強烈な一撃を撃ち抜かれ、ダメージ耐え切れず時間差でぐにゃりと崩れ落ちる衝撃KOに会場が騒然となった。
3月30日、後楽園ホールで開催された「Krush.172」のダブルメインイベント第1試合で、Krushバンタム級王者・黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)に、現Krushフライ級王者・大夢(WIZARDキックボクシングジム)が挑戦。試合は3ラウンド2分40秒、黒川が豪快な左ストレートを叩き込んでKO勝利を収めた。
この一戦に向けて、大夢は「黒川選手が自分のベルトを懸けて戦ってくれるので、僕もそれに応えて、フライ級のベルトを懸けて負けたら返上するつもりでいます。自分も男として腹をくくって、しっかりKrushを体現する試合をして2階級王者になります」と語り、退路を断つ覚悟を明言。実際に試合前にはフライ級王座を返上し、自らを追い込んだ状態で異例の階級越えの王者対決に臨んだ。
別階級の現役王者同士が激突するこの注目カード。1ラウンドから大夢はノーモーションから放たれるトリッキーな動きとプレッシャーで攻撃を仕掛けた。カーフキックやジャブで黒川を削り、右ストレートもヒット。軽量級ならではのスピードを武器に、序盤は挑戦者が試合の主導権を握った。
鼻血を見せるなど被弾が目立った黒川は、初防衛戦のプレッシャーもあり、やや硬さが見られたが、2ラウンドに入ると反撃を開始。大夢の前進に合わせた右フックがラウンド終了間際に炸裂し、ダウンを奪った。手数では圧倒的に大夢だったが、打ち合いの中で一発をもらい、尻もちをついてダウン判定されると、ファンからは「一発もらった」「もったいない」といった声も上がった。この一撃が、試合の流れを一気に変えていく。
迎えた第3ラウンド、両者は一歩も引かず激しい打ち合いを展開。大夢のしなやかな打撃と、黒川の重みのあるパンチが交錯する中、黒川の右フックが再び大夢をとらえ、続けざまに左ストレートが顔面を直撃する。
さらに、大夢の放った渾身の右ハイキックを黒川が顔面で受け、首をクイッとひねって「効いてないよ」とアピール。直後に自らの左ハイで応戦。接近戦では黒川の拳の重さが際立ち、至近距離で“バコッ”という鈍い音を響かせながら、顔面とボディに打撃を叩き込んでいく。そして、左ストレートを撃ち抜かれた大夢は一瞬こらえたものの、時間差で腰からぐにゃりと崩れ落ちるように前のめりにダウン。気力で立ち上がったものの、ふらつきながら後退し、ここでゴングが鳴らされた。
ABEMAの解説・卜部弘嵩も「手数では大夢なんですが……」と語った通り、正確に当て続けた大夢を、黒川が重い一撃で押し切った。ファンからは「これが階級差か」という声や、顔面から出血しながらも倒し切った黒川に対し「ここで決めるのはすごい」と称賛の声も上がった。
王者を追い詰める場面を作りながらも、最後は力尽きてマットに大の字となった大夢。表情にはダメージと悔しさがにじんでいたが、立ち上がった瞬間、ラウンドガール全員を含めた会場から大きな拍手。「でも、どっちかというと大夢があっぱれだ」というファンの声の通り、“階級差マッチ”で堂々と打ち合ったその姿に、惜しみない賛辞が送られた。