時を経て、同じ球団で再会した2人が力をあわせて勝利に結びついた(C)産経新聞社 巨人・田中将大が3日の中日戦(バンテリン)で移籍後初先発。5回5安打1失点で今季初勝利を飾った。23年8月26日のソフトバンク戦(楽天モバイル)以来、586日ぶ…

時を経て、同じ球団で再会した2人が力をあわせて勝利に結びついた(C)産経新聞社
巨人・田中将大が3日の中日戦(バンテリン)で移籍後初先発。5回5安打1失点で今季初勝利を飾った。23年8月26日のソフトバンク戦(楽天モバイル)以来、586日ぶりの白星を飾った。
【動画】移籍後、初勝利!田中が気迫のピッチングで中日打線を抑えたシーン
初回先頭の岡林勇希に左前打、上林誠知にも右前に運ばれ、いきなり無死一、二塁のピンチを迎える。しかし、3番・細川成也を中飛、4番の石川昂弥を遊撃併殺打と仕留め、無失点スタートとする。
2回は三者凡退に抑え、そんな田中を打線も援護する。2回、先頭の岡本和真が左前打で出塁し、その後一死一、三塁とすると、坂本勇人が中犠飛で先制点をあげる。
3回には失点を許す。先頭の木下拓哉に中前打、岡林の投手強襲安打などで一死二、三塁のピンチを迎えると、上林に中犠飛を打たれ、1点を返された。
ギアが入ったのは5回だ。4-1と3点差で迎え勝利投手の権利を目前にしたこのイニングでも、先頭の木下に四球を与えてしまう。その後、この日好調だった岡林に再び二塁打を許し一死二、三塁のピンチを迎える。
ここで迎えた上林誠知にはこの日、最速となる149キロを連発、気迫のこもった投球を見せたが、結果として四球を与えてしまう。しかし、一死満塁で迎えた細川を136キロのスライダーで三ゴロ併殺に打ち取ると渾身のガッツポーズとともにおたけびをあげた。
5回96球、5安打1失点の粘投で日米通算198勝目をマーク。節目の200勝にはあと2勝となった。
試合後のヒーローインタビューでは「自身にとっても開幕なので、できるだけベストを尽くそうと思いました」と言葉に力を込めると「5回まで本当にバックに守ってもらいました。キャッチャーの拓也(甲斐)にもワンバウンドを止めてもらったりと感謝しきれないです」と周囲のフォローに感謝の言葉を続けた。
楽天で2013年シーズン、24勝無敗の金字塔を打ち立てた右腕も近年は苦しんだ。昨年は手術の影響もあり1勝もできず、レジェンド右腕の復活がチームの大きなテーマとなっていた。
そんな田中の再生に手を貸したのは久保康生巡回投手コーチだった。
昨年も菅野智之の再生を支えた名伯楽はキャンプ初日からブルペンで、体重移動や腕の使い方など、基本的なことを含めて、フォーム改造に取り組んだ。
体を縦回転に使うことによって、持っている力を無駄なく球に伝え、球の強度を高めるというもの。これまでも多くの投手の背中を押してきた名コーチの存在が、田中の復活劇を後押しする要因になったことは間違いないだろう。
またもう一人のキーマンは入団時から注目を集めてきた、同級生の坂本だ。小学校時代に「昆陽里タイガース」でバッテリーを組んだ幼馴染が時を経て、同じ球団でプレーすることになった。
開幕からここまで無安打だった坂本も田中登板のこの試合で2本の犠飛含め、4回の第2打席では今季初安打もマークした
互いに「特別な存在」と認める2人は、大事な試合で力をあわせて勝利に結び付けた。試合後のヒーローインタビューで田中は坂本について「勇人も『おれもまだ開幕できてない』と言っていたので、ふたりで存在感を出せたかなと思います」と先制、ダメ押しの犠飛を放った背番号6に最敬礼。
さらに「勝たせていただいた一勝。特別ですし、いろんなことがあって勝つことができて本当に嬉しい」と感慨をにじませた。最高の形で「巨人・田中」として再出発を果たし、200勝へのカウントダウンも始まりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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