昨年12月の全国高校駅伝競走大会に、広島県代表として21年連続で出場を果たした世羅高校。3年生の向津翼さん(17)は、…
昨年12月の全国高校駅伝競走大会に、広島県代表として21年連続で出場を果たした世羅高校。3年生の向津翼さん(17)は、その男子陸上競技部を主将として引っ張った。
東京都文京区の出身。父は広島市出身で、陸上競技の経験者だった。小学生の時、皇居周辺などをジョギングをしていた父について行き、走る楽しさを知った。中学には陸上部がなかったため、電車でクラブチームの練習に通い、都大会で優勝を果たした。
世羅高校を選んだのは、全国高校駅伝の常連校というだけでなく、「陸上に集中できる」から。「東京は誘惑が多い。結果を残すためには、厳しい環境で自分を律しなければいけないと考えた」と振り返る。
寮では、掃除や洗濯は自分でしなければならない。故障で通院しようにも家族を頼れず、ひとりで公共交通機関で行くしかない。家族のありがたみが肌身にしみ、「人間的に成長できた」と言う。
全国高校駅伝で歴代最多優勝11回を誇る伝統校だけに、主将にはプレッシャーがかかった。部員と帰り道や風呂などで話し合い、「全員で走る」という思いをまとめた。2、3年生で出場し、今回は2区で4位の結果を残したが、チームは21位と前回の13位を下回った。
「今年も優勝できず本当に悔しい。それでもみんなで優勝に向けて取り組んできたことはすごく楽しかった。やり切った」
地元住民らの支えも忘れられない。特産品の梨や肉などを差し入れてもらい、大会会場にはバスで応援に来てくれた。
春からは立教大に進む。箱根駅伝の常連校ではないが、活躍が注目されている。「自分たちで歴史を作れるような環境で活動したい」と話す。大学でもチームを引っ張れる存在を目指し、箱根駅伝、そして国際大会で駆けることを夢見ている。(菅野みゆき)
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趣味はF1観戦。極限状態での競い合いや、他選手との駆け引きは、駅伝などの競走にも通じるものがあると感じている。大学進学後、現地で観戦するのが夢だ。広島では世羅特産の様々な品種の梨に出合い、より好きになった。(菅野みゆき)