2025年のJリーグが開幕した! オフの間も、新チームの姿を想像する楽しい時間ではあるが、開幕戦を戦ったことで新チーム…
2025年のJリーグが開幕した! オフの間も、新チームの姿を想像する楽しい時間ではあるが、開幕戦を戦ったことで新チームの姿も、おぼろげながら見えてきた。今年は、どんなシーズンになるのか、また、優勝や降格、サプライズを起こすクラブはどこか? ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が、新情報なども踏まえて、徹底的に語り尽くす!
■孤立していた「前線の3人」
――川崎フロンターレとともに近年のJ1をリードしていた横浜F・マリノスはどうでしたか。
大住「日本のサッカーを全然知らなかったスティーブ・ホーランド新監督の下でやっているわけで、まだまだ手探りという感じかな。開幕戦では途中から4バックにしたけど、3-4-3のフォーメーションでスタートしていた。2シャドーにヤン・マテウスと植中朝日、ウィングバックは右に井上健太、左に永戸勝也が入って、サイドからの攻撃が厚くなるのかなと思ったら、そこまで至らなかった。まだまだって感じだね」
後藤「僕はそのアルビレックス新潟戦3日前のACLエリートの上海申花戦を見た。まだ新しいシステムに慣れていないからだろうけど、ウィングバックのサポートが少ないし、ボランチが上がっていくこともなかった。前線の3人が孤立している感じだった」
大住「個々の選手を見ると、去年より良い感じがするんだよね。特にコロンビア人のジェイソン・キニョーネスは、久しぶりに目にするスピードもテクニックも備えた良いセンターバック(以降CB)だよ。去年途中から入ったジャン・クルードは、まだ21歳だし、すごく伸びているね。ボールを取る力があるし、これからさらに成長したら、それほど長く時間がたたないうちにヨーロッパに行っちゃうかもしれない。このように個を見るとすごく良いんだけど、チームとしてまだスムーズに動いてないなという感じ」
後藤「重心が低くなっちゃった感じがあるよね。じゃあ、守備がすごく安定したかというと、そうでもなくて。上海戦を無失点で乗り切って、けっこう評価されていたけど、あれはGKの朴一圭が好セーブをいっぱいしたおかげ。危なっかしい場面をたくさんつくられていて、内容的には負け試合だった。チーム作りには時間がかかりそう」
■親会社同様「求められる」スピード感
大住「アルビレックス新潟との開幕戦を見て、苦しんでいるなと感じたのは、ボールの失い方がすごく悪かったからなんだよね。中盤で失うことがものすごく多かった。それに、前半の15分から30分くらいまでは、サイドを突破してクロスがエリア内に入っていたんだけど、それ以外の時間ではペナルティーエリアに侵入するだとか、そういう最後の部分にたどり着く形がなかった。そうするうちに相手陣に入ってすぐの中盤や、自陣でボールを失うことが増えていって、マリノスらしくないなという感じを強く受けた」
後藤「新しいシステムで、皆が考えながらプレーしているから、そういうことになるんでしょう。経営不振の親会社の日産自動車と、どちらが先に立て直せるかな」
大住「ちょっと時間がかかるかな、という感じだね」
後藤「再建を目指すビッグクラブの中で、最後まで苦労するチームになりそうな印象だな」
大住「でも本当に力のある選手がそろっているわけだから、うまくまとまれば順位表でも上に行くかもしれないね」
後藤「いずれうまくいくかもしれないけど、どれくらい時間がかかるかが問題。経営統合で日産は、ホンダに“意思決定のスピード感が足りない!”って言われたんだから」
■新監督は「良いコーチ」ではあるけれど
大住「ホーランド監督が良いコーチであるのは分かるんだけど、勝負の世界でやっていけるか、まだちょっと分からない」
後藤「記者会見での、細かいこともすべて説明する誠実さは素晴らしいけど、勝負師であるべき監督としてはどうなのかな」
大住「そうなんだよね、あんなに真面目に答える外国人監督は初めてかもしれない」
後藤「オーストラリア人(前任のジョン・ハッチンソン監督はオーストラリア人、ホーランド監督はイギリス人)とは違うということかな。イギリス人記者たちは、オーストラリア人監督の話はつまらないって言っていたからね」
大住「オーストラリア人監督はたくさんしゃべるけど、内容がないんだよね」
後藤「ホーランド監督は内容のあることを細かくしゃべってくれる」
大住「でも、それよりもチームを勝たせないと。勝つことで選手も信頼するし、チームもまとまっていくと思うんだよね。どれくらいのところまでみんなが我慢できるか、ちょっと気になるね」