MLSの現行ルールに異論を唱え、改革を求めた吉田。その発言は意義深いものとなった。(C)Getty Images まさかの契約に思わず本音が漏れた。声の主となったのは、MLSのロサンゼルス・ギャラクシーに所属する元日本代表DFの吉田麻也だ。…

MLSの現行ルールに異論を唱え、改革を求めた吉田。その発言は意義深いものとなった。(C)Getty Images
まさかの契約に思わず本音が漏れた。声の主となったのは、MLSのロサンゼルス・ギャラクシーに所属する元日本代表DFの吉田麻也だ。
今オフに吉田は新たなに2年契約の締結を発表。しかし、米紙『Los Angeles Times』が報じたところによれば、昨季の年俸80万ドル(約1億2400万円)から減俸された内容になったという。
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23年8月にLAギャラクシーに加入した吉田は、在籍2年目となった昨季にMLSのレギュラーシーズン全34試合、プレーオフ全5試合に出場。チームにとって10年ぶりとなるMLSカップ優勝に貢献。クラブからは年間最優秀ディフェンダーにも選出された。
36歳となっても意気軒昂といった姿を見せつけた闘将だったが、このオフにクラブから提示されたのは、減俸オファーだった。「正直言って、とても不公平。チャンピオンになったのに年俸が少ない。こんなことはあってはならない」と不満をあらわにした吉田。「娘の学校は変えたくない。ここ数年、1年か2年ごとに新しい環境に移っている彼女も大きくなっている。アメリカでこのようなネットワーク、関係、経験を持つことは、将来のために悪くない」と家族の生活を最優先にしてサインしたものの、もどかしさは残る。
「正直、難しい決断でした。僕はサッカー以外でお金を稼ぐ必要がある」
そう皮肉を交えたベテランDFが追及したのは、MLSが設けている特別指定選手制度を交えたサラリーキャップ制度の改革だ。
MLSでは、各チーム内で選ばれた3選手以外は、年俸総額の上限が定められている。これは、2007年7月にデビッド・ベッカムがLAギャラクシーに移籍してから誕生した制度で、「ベッカムルール」とも呼ばれている。
総年俸を抑えられ、各クラブの戦力均等化が図られる一方で、特別指定選手となったスター以外の待遇が改善されにくい現状は否めない。また、より高い年俸を求める若手選手たちを中心とした実力派の国外流出にも繋がってもいる。
そうした実情を目の当たりにしている吉田は「ファンは地元で育った選手がクラブで成功を掴む姿が見たいもの。それはごく当たり前のこと」と強調。その上で現行のルールに対する異論を口にした。
「バスケットボール、野球、アメフトといったスポーツでは外国との競争はあまりない。しかし、サッカーは違う。世界中の競争相手のことを考えなければならない。より良い契約を結べるなら選手はそこに行く。だから今、中東が人気になっている。数年前までは中国が人気だった。資本主義とはそういうものだと思っている。そして、アメリカはとても、とても資本主義的な国だと思っていた」
さらに日本のサッカー業界内でも「MLSに対する関心はとても高まっている」と明かした吉田は、「同時に給与上限の制度は日本とは異なる。だから、財政的に成長する必要がある。お金がなければ誰も来ない」と断言した。
いわゆる“助っ人”である吉田の立場を思えば、勇気ある主張と言えよう。果たして、彼の発言はMLSの発展に何らかの影響をもたらすのか。その行方を興味深く見守りたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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