蹴球放浪家・後藤健生は世界中でサッカーを観戦してきた。試合のみならず、移動も含めて、すべてを楽しんできた。そんな蹴球放浪…

蹴球放浪家・後藤健生は世界中でサッカーを観戦してきた。試合のみならず、移動も含めて、すべてを楽しんできた。そんな蹴球放浪家が体験した「サッカー観戦がさらに楽しくなる」入国審査のススメ!

■ゲートチェンジが「多すぎる」中国の空港

 海外旅行に行くときには(とくに島国である日本では)、航空機を使うのが一般的でしょう。なにしろ、他の交通手段に比べて、はるかに速いですし、今では格安航空会社(LCC)を使えば、最も安い交通手段だからです(国内旅行でも飛行機は新幹線よりも割安。行き先によっては高速バスよりも安いこともあります)。

 でも、飛行機での旅行はあまり面白いものではありません。

 国際空港というのはインターナショナルな空間です。世界中のほとんどの国の空港ではチェックインから登場までの手続きはほとんど同じです。だからこそ安心ですし、実際、普通の国とちょっと違っていたりすると焦ったり、イライラしたりすることになります。

 たとえば、入口から搭乗まで何度も荷物検査がある空港とか、ゲートチェンジが多すぎる中国の空港とか……。

 そして、国際空港なら、ほとんどどこでも英語が通じます。

 ですから、そんな国際空港で飛行機に乗って、国際空港に到着して、外国人がたくさん乗っている空港バスに乗車すると、なかなか「現地に着いた」という感覚が味わえません。

■その国らしさが出る「徒歩」での国境越え

 昔は空港の出口あたりでタクシーの客引きとか、闇の(レートの良い)両替屋とか、荷物運びの手伝いと称した小悪人が寄って来るので“異国情緒”を味わえたものですが、最近ではそういうことも少なくなりました。

 その点、歩いて国境を渡ると入国審査(パスポート・コントロール)も国際空港のそれよりも、その国らしさが丸出しですし(たとえばワイロを要求されるとか)、国境を渡った瞬間に「異国に着いた!」ということを体感できます。

 1974年の西ドイツ・ワールドカップに行くときに通ったポーランドと東ドイツの国境とか、東ベルリンから西ベルリンに入るときの検問所とか、バスでハンガリーからオーストリアに入るときの国境検査など、東西冷戦時代の「鉄のカーテン」を越えるときの緊張感は今でも鮮明に覚えています。

 つまり、緊張感を求めるなら陸上国境でしょう。

■景色と風情を楽しむなら「船旅」が鉄板

 一方、景色と風情という意味では、船による渡航がオススメです。

 近代以降、世界中の港湾都市が発展しました。

 日本でも、古代や中世には飛鳥や平城京(奈良)や平安京(京都)などの都は、内陸に位置していました。海とは川によってつながっていました。大阪市内にあった難波宮や貿易港だった博多、兵庫など海に面した都市もありましたが。

 一方、近世以降は豊臣秀吉が築いた大坂とか、徳川家康が大改造した江戸といった都市が海に面して造られます。名古屋や横浜もそうですし、いずれも海に面しています。物資や旅客を運ぶ船が大型化したため、川を内陸の都市までのぼって来ることができなくなったためでしょう。産業革命以降の工業地帯も臨海部に造られました。鉄鉱石や石炭、石油を大型船で運んでくるからです。

 世界でも多くの港町が発展しました。

 飛行機が一般の人たちにも使われるようになったのは、第2次世界大戦後のことです(最初は「一般の」といっても金持ちだけでしたが)。

 それ以前は、海外旅行は船で行くのが当然の(唯一の)選択肢でした。だから、港町の正面は海に向かって開かれていたのです。横浜も、神戸も、門司港も、上海も、シンガポールも、ムンバイも、リスボンも、ニューヨークも、リオデジャネイロも、ブエノスアイレスも……、どこも海からアプローチするのが本来のアクセス方法だったのです。

 だから、今でもこうした港町には、海で到着するのが正しいアプローチなのです。

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