宿敵明大に2連敗した先週から一転、投打ともに奮起し慶大から8点を奪い勝利した。打線は中山の本塁打など長打7本を含む怒涛の13安打。投手は菅野が9回を1人で投げぬき東大以外で初めてとなる完封勝利をおさめた。チームは明日の2回戦で勝ち点を狙う。…

宿敵明大に2連敗した先週から一転、投打ともに奮起し慶大から8点を奪い勝利した。打線は中山の本塁打など長打7本を含む怒涛の13安打。投手は菅野が9回を1人で投げぬき東大以外で初めてとなる完封勝利をおさめた。チームは明日の2回戦で勝ち点を狙う。

 

今季初完封勝利を果たし、チームの先勝に貢献した菅野

 涙を吞んだ連敗から1週間。優勝のためにはもう敗戦は許されない状況で迎えた慶大戦。慶大も前カードの東大戦で投手陣に不安をかかえている中での対戦となった。

 初回に法大は相手先発高橋亮吾からいきなりチャンスをつくる。1番舩曳海(キャ2)が四球で出塁すると盗塁と2番相馬優人(営2)の安打で、1死二、三塁の場面で打席には4番の中山翔太(人3)。先制点が欲しいこの場面で主砲が結果を残した。3球目の直球を叩くと打球はあっという間に左翼スタンドへ。吠えながらダイヤモンドを一周した中山。見事に先制点を手にした。

 

 一方の法大の先発は菅野秀哉(キャ3)。前回登板では6回5失点と開幕投手の役目を果たせなかった。今日も初回からピンチを招く。連打で1死一、二塁とすると打席にはプロ注目のスラッガー・4番の岩見雅紀がバッターボックスに。「対策してきた通りに投げ切ることができた」とファールで粘られるも10球目で右飛に打ち取った。後続もなんとか抑え、無失点で抑えた。

 その後は両投手が粘りの投球を見せる。再び試合が動いたのは5回。先頭の毛利元哉(法2)が四球を選ぶと中山が左翼線二塁打を放ち、チャンスを拡大する。打席には今日ここまで2安打と好調の福田光輝(人2)を迎える。チャンス法政が流れる中、3球目を思い切り引っ張る。打球は一塁線を抜ける2点適時二塁打に。さらに今季初先発を果たした7番小林満平(法3)が復活をアピールする左前適時打を放ち、この回3点を追加した。

 しかし菅野もこの日一番の正念場を迎える。2死を簡単に奪ったものの安打と死球で満塁のピンチとなる。打席には再び岩見。初球を捉えられると、大飛球がライトを襲う。しかし右翼手・向山基生(営3)がフェンス手前で落下点に入り捕球し、ピンチを脱した。 続く6回には福田が今日4本目の安打で出塁すると、今日打順を6番に下げた向山が三塁線を破る適時二塁打を放ちさらに追加点を挙げた。 勢いに乗った菅野は相手を寄せ付けない投球を見せる。6回から8回までを安打1本に抑える好投。途中打球が当たり、治療するも気迫でマウンドに立ち続ける姿を見せた。

 9 回にはファン待望のあの男が打席に。ケガで戦列を離れていた主将の森龍馬(キャ4)だ。注目の打席で主将は右中間に二塁打を放った。しっかりとバットで結果を残し、ベンチへと下がった森。明日からもその打棒が要所で頼りになるに違いないだろう。 完封勝利に向けて菅野が最終回のマウンドへ。先頭打者を一ゴロ、次の打者を左邪飛に抑えると、最後の打者を見三振に打ち取りゲームセット。若きエースが最高の投球でチームを勝利に導いた。

 開幕投手と4番の活躍で今季初勝利を手にした法大。まさに理想的とも言えるこの試合を機に連勝街道を駆け上がるのか。そして王者復活へ、栄冠を目指すためにまずは明日連勝で勝ち点を奪うことが大切だ。一筋縄ではいかない相手ではあるが法政のプライドを胸に、勝利を目指して欲しい。(石川大悟)

 

クローズアップ

福田光輝(適時打を含む4安打の活躍 不調を救った指揮官に最高の恩返しを)

 開幕カードでは、わずか1安打に終わった福田。一転、今日は4安打5出塁と大暴れ、今季初勝利に貢献した。なぜ調子を取り戻せたのか。この活躍の陰には指揮官の熱い指導があった。

 昨季のリーグ戦途中からレギュラーを奪取し、今季は1年春以来の開幕スタメンを果たす。しかし自分が決めてやるという気持ちが空回りし、2試合で1安打と完全に打線のブレーキとなっていた。連敗後の1週間、結果が出ずに悩んでいた福田に手を差し伸べたのが青木久典監督。自らが打撃投手となってマンツーマンでの1時間にわたる特打を敢行してくれた。「力を抜いていけ」言葉は少なめだったが福田の胸には大きく突き刺さった。昨季の途中まではベンチを温めることが多かった福田。そんな状況でもチームに貢献しようと誰よりも声を出し続けた。全てはチームのため。個人の結果を追い求めるのではなくチームの勝利を最優先にした考えからだ。しかし、今季はチームの主力となったことで気持ちが前面に出し過ぎてしまい力みが生まれていた。そんな中での指揮官からの一言。我を取り戻した福田は、見事に指揮官から受けた恩を4安打という結果で返して見せた。

「明日勝たないと意味がない」。今日の大勝にも満足せず試合直後から福田は明日を見据えた。全ては勝利のため。そして優勝のためだろう。常に陰で支えてくれる監督に次は優勝という形で、福田が恩を返しにいく。(具志 保志人)