「ジャパネット杯 春の高校バレー」第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会第1日(5日、東京体育館)男女の1回戦計40試合が行われた。女子で6年連続出場の共栄学園(東京)は、2012年ロンドン五輪銅メダリストの大友(旧姓)愛さんを母に持…
「ジャパネット杯 春の高校バレー」第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会第1日(5日、東京体育館)男女の1回戦計40試合が行われた。女子で6年連続出場の共栄学園(東京)は、2012年ロンドン五輪銅メダリストの大友(旧姓)愛さんを母に持ち、女子日本代表にも登録された秋本美空(3年)の活躍で、近江兄弟社(滋賀)にストレート勝ち。初戦敗退に終わった昨年の悪夢を払拭し、悲願の全国制覇へ歩みだした。
〝ロサンゼルス五輪の星〟がチームを引っ張った。競り合いの第2セット終盤、勝負のトスはほぼ秋本主将に上がる。エースの強打で21-21の同点に追いつくと、ブロック、スパイクで連続得点。最後は技ありのフェイントで相手コートの真ん中にボールを落とし、勝負を決めた。
「1セット目は自分たちの流れでできたけど、2セット目はみんな安心して、気が抜けてミスが増えた。日本一になるためには、そういうミスをなくさないと。明日からは最後まで集中してやりたいなって思います」。勝っても浮かれず、大黒柱はかぶとの緒を締めた。
第1セットは秋本のスパイク得点や連続サービスエースなどでリード。他の選手も緊張が解け、7連続得点などで流れを奪った。第2セットは一時、13-17まで離されたが、相手のミスにも助けられて追い上げると、最後は主将が爆発した。
「『みんなで集中して最後までいくよ』って声を掛けて、取れたのでよかったです」。〝スーパー1年生〟と呼ばれた秋本も今回が最後の春高だ。新チームが結成された昨年春、主将に任命された。当初は「お試しで」と考えていた中村文哉監督だが、「『あ、こういう一面があるんだ』って、発見の連続でしたね」と成長ぶりに目を細める。
人生初の主将で苦悩もあったが、昨秋に公式戦デビューした期待の新人で、対角を組む183センチの山下裕子(1年)にアドバイスを送り、成長を促すなど、チームをまとめてきた。自身も「プレーだけに集中せず、ちゃんとコートを見ながら声掛けもできたのかな」と成長を実感する。1年時は準々決勝、昨年は1回戦で敗退。高校3年間で初の全国制覇へ、チームを力強く引っ張っている。
普段は茨城・つくば市の自宅から約1時間半かけて通学しているが、今大会でチームは東京都内のホテルに宿泊している。スタンドから娘を見守った愛さんからは前夜、LINEで「早く寝て、明日眠いよ」と連絡が入った。
どんなに娘が成長しても心配なのが親心。「大会が終わったら『日本一を取ったよ』といえるように頑張ります」。結果で母に成長を報告する。(只木信昭)
■秋本 美空(あきもと・みく) 2006(平成18)年8月18日生まれ、18歳。神奈川県出身。共栄学園高3年。アウトサイドヒッター。母は2012年ロンドン五輪銅メダリストの愛(旧姓・大友)さん。小2で競技を始め、共栄学園中3年時に全国中学大会で優秀選手、JOC杯全国都道府県対抗中学大会でオリンピック有望選手に選ばれ、22年6月のU18アジア選手権で優勝。23年に日本代表候補に初登録。24年U20アジア選手権準優勝。184センチ、68キロ、最高到達点301センチ。
■共栄学園(きょうえいがくえん) 1939(昭和14)年に本田裁縫女子学校として創設され、48年から現校名。バレーボール部は57年創部。中高一貫教育で、2003年に高校が共学化された。建学の礎を「至誠一貫」とし、教育理念に「文武両道」を掲げる。主な卒業生はバレーボール元日本代表の益子直美、大貫美奈子、ビーチバレー元日本代表の浦田聖子、草野歩、女優・タレントの間下このみら。東京都葛飾区お花茶屋2の6の1。