「ジャパネット杯 春の高校バレー」第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会(来年1月5日開幕、東京体育館、サンケイスポーツなど主催)の注目選手を紹介する連載の第4回は、女子・金蘭会(大阪第2)の平野シアラ(3年)。昨年11月に左膝の手術…
「ジャパネット杯 春の高校バレー」第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会(来年1月5日開幕、東京体育館、サンケイスポーツなど主催)の注目選手を紹介する連載の第4回は、女子・金蘭会(大阪第2)の平野シアラ(3年)。昨年11月に左膝の手術を受け、約8カ月間のリハビリを経験。コートに戻ってきたアタッカーが、名門に6年ぶりの歓喜をもたらす。
大けがを乗り越えたアタッカーが、日本一へのラストピースになる。大会1カ月前。8カ月に及ぶリハビリを経て戻ってきた平野は、練習で次々と強烈なスパイクをコートに突き刺した。
「復帰してから最高到達点が6センチ伸びて、スパイク力が上がっている。とてもいい状態です」
昨年10月の国民スポーツ大会準決勝。平野の左膝に激痛が走った。診断の結果は「左膝前十字靱帯(じんたい)断裂、軟骨損傷、半月板損傷」。医師からは「手術しないと高校3年までは持っても、それ以降はバレーができなくなる」と告げられた。
春高の出場を諦め、11月22日にメスを入れた。4週間は車いす生活。チームが準々決勝で就実(岡山)に敗れた試合はリハビリ室のテレビで見た。「負けたことも悔しかったが、自分がその舞台に立っていないことが一番悔しかった」。
退院後は体育館の隅で体幹を鍛える日々が続いた。「焦って、青森にいる親に電話して毎晩泣いていた」。今年の7月上旬から本格的な練習を再開し、同月の全国高校総体(インターハイ)に出場。就実との決勝では全国制覇を決める最後の得点を奪い、完全復活を遂げた。
世代別日本代表9人を擁するタレント軍団。10月の国民スポーツ大会は再び決勝で激突した就実に敗れて2冠を逃したが、春高での雪辱に燃えている。「攻撃でも守備でも活躍して、日本一を取りたい」と平野。全国の頂点に立ち、これまでの道のりが遠回りではなかったと証明する。(鈴木和希)
■平野 シアラ(ひらの・しあら) 2006(平成18)年8月22日生まれ、18歳。青森・三沢市出身。父は米国出身で母は日本人。小学1年からバレーを始める。金蘭会中時代に全国制覇を経験。金蘭会高では2年時からレギュラー。オポジット。175センチ。最高到達点291センチ。