スネル(右)を獲得したドジャースは、大谷(左)を含めたスター選手たちへの後払い額がまた増える形となった。(C)Getty Images ドジャースは今オフもエポックメーキングな補強に成功した。 現地時間11月26日、ブレイク・スネルがドジャ…
スネル(右)を獲得したドジャースは、大谷(左)を含めたスター選手たちへの後払い額がまた増える形となった。(C)Getty Images
ドジャースは今オフもエポックメーキングな補強に成功した。
現地時間11月26日、ブレイク・スネルがドジャースと契約合意。今オフのFA市場において投手で最大の目玉とされた31歳の左腕は、5年総額1億8200万ドル(約276億6000万円)のメガディールを締結した。
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驚くべきは、その契約形態だ。ドジャースはスネルに支払う1億8200万ドルのうち6200万ドル(約94億円)を5年契約終了後に支払うと伝えられている。これは近年に同球団が“常套手段的”に行ってきた後払い契約だ。
近年のドジャースは、スター選手との契約のほとんどに後払いを組み込んでいる。昨年12月に10年総額7億ドル(約1015億円=当時のレート)で加入した大谷翔平は、契約期間中の年俸はわずか200万ドル(約3億円)。契約終了後の2034年から10年間にわたって年6800万ドル(約103億円)が支払われる。
また、12年総額3億6500万ドル(約566億7000万円)の契約を結んでいるムーキー・ベッツも、1億1500万ドル(約175億円)が後払い。さらにフレディ・フリーマンは6年総額1億6200万ドル(約249億円)のうち5700万ドル(約86億7900万円)が後払いとなる。
大谷、ベッツ、フリーマンだけでも後払い規模は計8億5200万ドル(約1290億円)に達する。そこにスネルの6200万ドルが加わると考えれば、数年後に抱える“負債額”は相当な規模となる。
一方で支払いの延期は球団にとってメリットも多い。現時点でのチームの年俸総額を抑えることで、定められた金額の上限を超えた場合に支払いを求められる「ぜいたく税」を回避。さらに浮いた資金で別の選手を補強できるのだ。
一部では「ぜいたく税の抜け道」「ルールなんて関係ないじゃないか」と批判されている後払いだが、現行のルール上なんの問題にもならない。そのため、識者たちからは好意的な意見も目立っている。
元アスレティックスの投手で、米スポーツ専門局『NBC Sports』の解説を務めているダラス・ブレイデン氏は「後払いは新しいマネーボールだ」と断言。セイバーメトリクスを用いてアスレティックスを再建させたビリー・ビーン氏の用いた手法を引き合いに出し、ドジャースのやり方を称えた。
「ドジャースについて人々が理解する必要があるのは、彼らが『最高の目的地』として球団を位置づけているということだ。オオタニに関しては彼自身が望んだ節約だ。ドジャースはそれを利用し、今ではそのおかげでお金を刷っている。何よりも選手たちは勝ちたいし、報酬をもらいたい。そして成長したい。
彼らはすべてを提供しているだけだ。ドジャースがあまりにも優秀すぎて、選手たちが自ら後払いを提案したり、少なくともそれを受け入れて優勝のチャンスを長く持てるようにしているだけだ。それなのに、みんな、なぜ怒っているのだろうか? 挑戦すべきではないのか?」
戦力の均衡化を目的に年俸総額上限を調整するサラリーキャップ制度の導入も叫ばれる。その中でドジャースは、どこまでの補強を展開するのか。今オフも彼らがFA市場の「主役」をとなるのは間違いない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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