Jリーグの誕生とともに劇的な進化を遂げてきた日本サッカー。一方で、プロリーグではないものの、重要な部分を担ってきた「戦…
Jリーグの誕生とともに劇的な進化を遂げてきた日本サッカー。一方で、プロリーグではないものの、重要な部分を担ってきた「戦いの舞台」がある。日本のサッカーの成長を示す「JFLの現在地」を、サッカージャーナリスト後藤健生が探る。
■J3リーグ昇格をかけた「熱い戦い」
J3リーグへの昇格をかけた熱い戦いが繰り広げられている日本フットボールリーグ(JFL)。
10月12日には第24節が行われ、ずっと首位を走っていた高知ユナイテッドSCが、前節まで14位と低迷中の横河武蔵野FCに敗れ、同時刻に行われた試合で2位の栃木シティFCが勝利したため、高知はついに首位の座を明け渡すことになった。
J3からJ2、J2からJ1への昇格と違って、JFLからJ3への昇格は、優勝チームはJ3最下位との自動入れ替えとなるが、準優勝チームはJ3リーグ19位との入れ替え戦に勝たなければいけない。つまり、優勝と準優勝では大きな違いがあるのだ。
横河武蔵野と対戦した高知は、立ち上がりは得意の速攻の形を作り、右サイドハーフの小林心やサイドバックの吉田知樹からの強烈なクロスで再三チャンスを作っていた。だが、いくつかのチャンスを決めきれずにいると、前半も残り少なくなった42分に横河武蔵野がスローインからゴール前に上げたボールを澤野康介が決めて1点をリード。高知はこの1点で浮足立ってしまい、後半は焦りの色が濃くなり、形を作れなくなってしまった。
全員が前に前にと攻め込む高知。一方、リードしている横河武蔵野は慎重に守るから、横河武蔵野のゴール前にはスペースがなくなってしまう。これでは、高知が狙っているカウンターの形は作れない。
さらに、時間とともに高知の焦りは増すばかり。縦へのパスが深くなりすぎてゴールラインを割ったり、相手GKにキャッチされる回数が増えていった。
■首位を走っていた高知の「中断期間」後
首位を走っていた高知が足踏みを始めたのは、8月の中断期間が明けた9月に入ってからだった。
9月1日の第18節でヴェルスパ大分に敗れると、第19節から第23節までの5試合は1勝2分2敗。第23節では2位の栃木との直接対決を0対2で落とし、ついに勝点差は1まで縮まってしまっていた。
前半のうちに1点を失っても、高知のチーム力は横河武蔵野より上だったはず。落ち着いて攻めることができれば、逆転は十分に可能だったろう。結果が出ていないために、たった1つの失点がメンタル的に大きくのしかかってきてしまったようだ。
ただ、JFLはまだ残りが6試合もある。栃木と高知の熾烈な優勝争いは最後まで続くことだろう(ちなみに、2位に陥落した高知と3位のレイラック滋賀FCの間には勝点10もの差がある)。
■佳境を迎えたJFLで「ショッキングな発表」
そんな、佳境を迎えているJFLだが、9月27日にはショッキングなニュースが飛び込んできた。
現在のJFLが発足して以降、ずっとこのリーグに所属していたソニー仙台FCが「今シーズンまでで活動を終了する」と発表したのだ。そして、10月3日にはJFL理事会がソニー仙台の退会を承認。JFLは16チームで構成されているが、来シーズンに向けては基本的に全国地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜いたチームが自動昇格し、同大会2位のチームがJFL最下位と入れ替え戦を行うことになった(全国地域サッカーチャンピオンズリーグでJFL入会資格を持たないチームが優勝、準優勝となった場合を除く)。
ソニー仙台FCは、あの世界的電機メーカー、ソニーのグループに所属するクラブだ。
1968年に宮城県多賀城市にあったソニーの「仙台テクノロジーセンター」で社内同好会として発足。その後、宮城県リーグ、東北社会人リーグを経て1998年にジャパンフットボールリーグ(旧JFL)に昇格。翌年発足した現在のJFLには初年度から加盟し、2015年には優勝を飾り、他のシーズンでもほとんど毎年1ケタの順位に入っており、JFLの強豪の1つとして知られていた。
やはり、企業内クラブであるHonda FC(本田技研工業)と並んで、「最強のアマチュア」としてJリーグ昇格を目指すクラブの前に立ちはだかる存在だったのだ。