異常気象と言われる事態が、もはや日常であるかのように、日本を含む世界の気候は大きく変動している。その影響は社会のあらゆ…

 異常気象と言われる事態が、もはや日常であるかのように、日本を含む世界の気候は大きく変動している。その影響は社会のあらゆる面に及び、サッカーもその例に漏れない。かつてとは違う真夏と、日本のサッカーはいかにつきあっていくべきなのか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。

■ホームの浦和が「素晴らしい入り」も…

 さて、SBSカップ観戦を2日目までで切り上げた僕は、翌日8月24日(土)にはJ1リーグ観戦のために埼玉スタジアム2002を訪れたのだが、ここでもまた雷雨に遭遇してしまった。

 浦和レッズ川崎フロンターレの試合だった。

 19時03分にキックオフとなったが、試合開始直前に降り出した雨が時間の経過とともに強くなっていく。一時はバックスタンドが見えないほどの豪雨で、たちまちピッチ上には水が浮き始め、30分を過ぎる頃にはパスもうまく回らなくなるほどだった。

 試合はホームの浦和が素晴らしい入りを見せて先制ゴールを決める。

 夏の移籍で主力級が何人も抜けた浦和だったが、非常に速いテンポでパスが回り、おそらく今シーズンを通じて、これだけ良い内容の試合はあまりなかったのではないか。大島僚太が復帰してから良い内容の試合が続いていた川崎だったが、この日は、序盤から浦和の猛攻に圧倒されてしまった。

 4分にはブライアン・リンセンが縦に入れたパスに安居海渡が反応したが、シュートは右のポストに当たってしまう。その後も猛攻が続くと、23分には左サイドから右サイドにパスがつながり、右サイドバックの石原広教のクロスがリンセンの頭をかすめて左サイドに抜け、それを大畑歩夢が折り返し、最後は渡邊凌磨が押し込んだ。

 ところが、この得点の直後に飲水タイムがあってゲームが中断する。そして、それを境に次第に川崎が流れを変える。攻め急ぐことなく、ボールを落ち着かせることによってポゼッションの時間を長くして立て直したのだ。

 こうして、1対0で浦和がリードしてハーフタイムを迎えた。後半の立ち上がりに、どちらがリズムをつかむのか……。

 すると、まず後半のキックオフが遅れるというアナウンスがあり、その後すぐに試合中止が伝えられた。

 雨は、やや収まりかけていたので、なぜこの時点で中止なのか釈然としなかったが、雨雲レーダーを見れば、埼玉県、東京都一帯が豪雨に見舞われており、サポーターの安全な帰宅を考えても「中止」というのは妥当な判断だったと言えるだろう。

■激しい雷雨で決勝戦は「40分1本勝負」

 こうして、僕はSBSカップの1日目から、3日連続で雨に祟られてしまったのだ。

 この夏、僕が実際にスタジアムに行った試合のうち、中止になったり、試合開始が遅くなったり、あるいは中断があったりという形で暑さや雷雨の影響を受けたのはこの試合でなんと10回目だった。

 SBSカップの30分ハーフというのも珍しい体験だったが、日本クラブユース選手権(U-18)大会決勝戦(7月31日、東京・味の素フィールド西が丘)では40分1本勝負という、さらに珍しい経験もした。激しい雷雨のために試合開始が大幅に遅れたためだった。

 もっとも、40分だけの試合ということで、非常にインテンシティの高い試合となった。両チームが点を取り合い、川崎フロンターレU-18が2対1とリードしていたものの、ガンバ大阪ユースがアディショナルタイムに2ゴールを奪って逆転勝利というエキサイティングな試合になった(夏場に試合をするなら、20分ハーフといった形式の大会もありかもしれない)。

 とにかく、今年の夏は気温が高い日が連続し、それに伴ってゲリラ豪雨に襲われる機会が非常に多かった。浦和レッズは8月7日のJ1リーグ第25節、柏レイソル戦も豪雨のために中止となっており、ホームゲームが2試合連続で中止となってしまった。

 内陸にある埼玉県は気温が高く、雷雨に見舞われることが多いのだ。

■8月の日本「シーズンオフにするしかない」

 さらに、試合が成立したとしても、高温多湿の条件ではプレーの質は担保されない。

 温暖化が進む現在。夏場の気温が高くなる日本列島では少なくとも8月は屋外でサッカーの試合を行うのに相応しい環境ではなくなった。中東諸国では夏場は当然シーズンオフとなるが、それと同じように8月の日本はオフにするしかないのではないだろうか。

 一方で、冬場の豪雪を考えれば1月、2月のリーグ戦開催も難しい。日本では冬と夏に2度中断期間を設けることを前提として年間スケジュールを作成すべきだろう。

 Jリーグは、長年の懸案だった秋春制の導入を決めた。

 秋春制に関しては反対論も根強かったが、最終的に秋春制推進派が説得の根拠としたのは「夏場の試合を避けるため」という理由だった。ここ数年の夏の暑さを顧みれば秋春制導入は正解だったとしか思えない。

 ところが、Jリーグは秋春制に以降する2026-27シーズンには、8月上旬にリーグ戦を開幕させる方針だという。「夏場の開催を避ける」ことを論拠に、強引に秋春制導入を進めておきながら、8月にも試合をするとは、どういう意味なのか?

 Jリーグは、開幕時期を再考すべきだ。

 Jリーグはシーズン制変更と同時にJ1のチーム数を従来の18から20に拡大した。もし、チーム数が18のままだったとすれば、J1リーグは各チーム34試合で終了することができる。つまり、4試合少ないのだから、8月開催を避けることができたはずだ。

 Jリーグは、なぜチーム数を拡大したのだろうか? また、たとえチーム数が20のままだとしても、なんとか8月上旬開幕だけは避けてほしいものだ。

 開幕早々に、中止や中断が続いたのでは盛り上がりを欠くことだろう。

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