8月5〜6日の2日間、KDDIと北海道日本ハムファイターズが国内初となる「4D REPLAY(自由視点映像システム)」を活用した実証実験を行なった。4D REPLAYとは、4D REPLAY,Inc. (本社: 米国カリフォルニア州)が開発…

8月5〜6日の2日間、KDDIと北海道日本ハムファイターズが国内初となる「4D REPLAY(自由視点映像システム)」を活用した実証実験を行なった。4D REPLAYとは、4D REPLAY,Inc. (本社: 米国カリフォルニア州)が開発した技術で、複数のカメラで撮影し、自由視点映像を生成して様々なアングルで鑑賞することができるものだ。

驚異の処理速度、5秒で撮影・編集・配信まで行う

一度映像を見てほしい。自由視点映像という、カメラアングルが変わる映像を見たことがある人も多いだろう。今回の技術の凄さは映像配信までの”早さ”だ。5秒で最新アルゴリズムを組み合わせてカメラから映像を収集、再編集し時空間を克服する映像を作る。今回の実証実験では、撮影した映像を球場の大型ビジョンおよびCS放送「GAORA」にてリアルタイムで放映した。球場でよく見る、バッターが打った後に流れるリプレイ映像を自由視点で見る。これは観客にとっては新体験となったはずだ。スポーツを生観戦することで味わえるプレーの迫力や会場の雰囲気、加えて選手の細かいプレーも、この技術で楽しむことができるようになった。

もちろん競技の試合会場によって台数の変動はあるが、今回はカメラ100台を準備し、一塁側・バックネット裏・三塁側に、韓国から訪れた4D REPLAYのスタッフが準備した。球場には設置用の部品がなかったため、ホームセンターで手に入れたパーツを手作りで組み合わせた。だからカメラを守るネットは無く、ライナー性のファウルボールがカメラ付近に飛んでくる度、スタッフ達はカメラに当たらないかハラハラしていたという。

KDDIが今後のスポーツライブ観戦をもっと面白くする

国内初となる実証実験を行ったKDDI。実験について周りの反応や、今後の展望をKDDI 戦略推進部長・江幡智広氏にお話を伺った。

ーー今回なぜ4D REPLAY Inc.への出資を決定したのですか?
これまでVRのビジネス化検討を進めてきましたが、まだユーザーの体験事項は少ないです。自由視点という360度体験であれば、スマホでも鑑賞できます。VRの映像を1から作るより、360度映像の方がかかる費用も少なくて済みます。そして4D REPLAYさんは技術的な優位性がありました。

ーーKDDIさんが配信しているサッカー日本代表の自由視点映像と4D REPLAYとの違いを教えてください。
KDDI総合研究所の自由視点技術は、カメラで撮影していない範囲に関しても映像合成する3Dレンダリング方式です。したがって大量のカメラを用意することなく、自由視点映像を生成することができます。4D REPLAYは自由視点映像にしたい箇所を複数のカメラで撮影する必要がありますが、ほぼリアルタイムで配信が可能です。会場で見ても、数秒前のリプレイ映像を見るのと同じように楽しむことができます。

ーー北海道日本ハムファイターズさんの反応はありましたか?
すごく面白かったと言っていただきました。球場にいた観客の方々からも好意的な意見を多くいただきました。他球団の方やイベント関係者、放送局からも問い合わせをいただきました。電機メーカーさんからは「うちのカメラの方が映像の質が上がるから相談しよう」とも。笑

ーー今後の展開について教えてください。
野球以外に、サッカーなど他競技へも展開していきたいです。そして今回は球場の大型ビションとTVでの放映でしたが、次世代高速通信(5G)を見据えて、ライブ映像をユーザーが自分の端末で、そして自由な視点で鑑賞できる環境を提供していきたいです。

ユーザーによって好きなスポーツは違う、見たい選手やプレーのアングルも違う。この新しい技術は、今まで興味がなかったスポーツを面白いと気付くきっかけになるだろう。KDDIが作る新しい”ライブ体験”、楽しみだ。