ベア・マティアス・ヘグモ新監督を招聘し、スウェーデン代表のサミュエル・グスタフソンを筆頭に、チアゴ・サンタナ、渡邊凌磨…
ベア・マティアス・ヘグモ新監督を招聘し、スウェーデン代表のサミュエル・グスタフソンを筆頭に、チアゴ・サンタナ、渡邊凌磨、前田直輝ら新戦力を補強。1年間ベルギーへ赴いていた松尾佑介も呼び戻し、充実した戦力で2024年J1に突入した浦和レッズ。開幕前は「優勝候補筆頭」と見る向きもあり、非常に期待値が高かった。
しかしながら、サンフレッチェ広島との開幕戦を0-2で落とすと、続く東京ヴェルディ戦を1-1のドロー。2戦未勝利という予期せぬスタートを強いられた。3戦目のコンサドーレ札幌戦をキャプテン・酒井宏樹の決勝弾で何とか1-0で勝ち切今季初勝利を挙げたものの、第4節・湘南ベルマーレ戦は派手な打ち合いの末に4-4のドロー。アレクサンダー・ショルツという守備の要が札幌戦で負傷した影響も否めなかったが、昨季リーグ最少の27失点のチームが4試合で7失点というのは、不安要素も少なくなかった。
4戦終了時点での順位は13位。J1初昇格の町田ゼルビアが旋風を巻き起こす中、浦和の出足の鈍さはやはり気がかりだった。そこから代表ウイークで2週間が空き、彼らは一気に巻き返すべく、テコ入れを図った。
ケガで長期離脱していた大久保智明の復帰という朗報が流れる反面、関根貴大が3月26日に負傷。松尾佑介もケガがあり、指揮官は左ウイングの人選に苦慮したという。
■練習前日の指揮官からの話
迎えた3月30日のアビスパ福岡戦は大久保を左ウイングで今季初先発に抜擢。FWのチアゴ・サンタナ、インサイドハーフ(IH)の岩尾憲もスタメン起用し、昨季YBCルヴァンカップ決勝で敗れた宿敵を倒すべく、試合に入った。
前半から主導権を握ったのはもちろん浦和。ボール保持率は7対3でチャンスの数でも大きく上回った。しかしながら、福岡のストロングである堅守を崩しきれず、逆に新加入のイラン人FWシャハブ・ザヘディにスーパーゴールを決められてしまった。
「事故みたいな失点というか、確率の低いところから点が入ってしまった。これもサッカー」と酒井は淡々と語ったが、このままというわけにはいかない。後半はサイドに動かしながらボールをつなぐ意識を強化。酒井と渡邊凌磨の両SBも高い位置を取るようになり、攻撃が活性化された印象だった。
1つのターニングポイントとなったのが、後半14分の大久保と大畑歩夢の交代。これで渡邊を前に上げ、大畑を左SBに置くと思いきや、指揮官は大畑を前に置いた。本人も「前日練習後に監督から『サイドの前で使う』と言われてびっくりした」と話していたが、意外な形は3~4分間続き、そこで渡邊がより前への推進力を発揮。チャンスメークを見せ、試合の流れが落ち着いたことを見極めたことで、ヘグモ監督は完全に2人の前後を入れ替える決断をしたのだろう。
■「勝点8は意外とはポジティブ」
渡邊を前に持っていったタイミングで、酒井のクロスから彼が同点弾をゲット。さらに前田直輝のドリブルシュートを相手がハンド。PKをチアゴ・サンタナがキッチリ決め切り、2-1で逆転。ようやく今季2勝目を挙げた。
酒井は、「やっぱり勝つのは簡単じゃないなと。まだ余裕で勝てるシチュエーションなんてないですし、足りない部分もあります。
ただ、現時点での勝点8は意外とはポジティブ。苦しみながらも一応、8ポイント取れてるっていうのは悪くないかなと思います。苦しんで苦しんだ分だけ、みんなでの達成感や喜びを共有できることがチーム力に繋がる。欲を言えば、10ポイントくらい欲しかったですけど、正直、こんなもんかなっていう感じですね。ここからのリアクションが大事なので」と前向きに言う。
渡邊と大畑の位置関係を見ても分かる通り、ヘグモ新体制の浦和は模索の段階。新戦力が結果を出せるようになってきたことをプラスに捉え、4月の連戦で勝ち点を重ねること。それがタイトルへの大きな一歩と言える。
(取材・文/元川悦子)