「ジャパネット杯 春の高校バレー」第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会は8日、東京体育館(渋谷区)で決勝戦が行わ…

「ジャパネット杯 春の高校バレー」第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会は8日、東京体育館(渋谷区)で決勝戦が行われた。都勢は、男子の駿台学園が福井工大福井(福井)に3―0のストレートで快勝、2大会連続3度目の頂点に輝いた。女子の下北沢成徳は強豪の就実(岡山)に0―3で敗れた。

駿台学園、怒涛の勢い

第1セットは競り合いが続いた。秋本や荒井らがスパイクを決めれば、相手もエースのバックアタックなどで食らいつく。我慢比べが続く中、流れを変えたのは終盤に途中投入された川野だった。「あと少しの点数だったので、やってやろうと思っていた」と、196センチの長身を生かしてライトから攻め、チームを勢いに乗せる。最後は荒井が冷静にスペースに落とし、このセットを奪った。

梅川大介監督が「1セット目がすべてだった」と振り返るように、競り合いを振り切ったチームは優勝へ向け、波に乗った。「準決勝まではうまくいかなかったが、今日は勝ちたい気持ちが強かった」というリベロ谷本がこぼれ球に抜群の反応を見せると、高沢や三宅雄のブロックもさえ、第2セットは大差で制した。

迎えたマッチポイント。最後はセッター三宅綜がトスを上げると、兄の三宅雄がスパイク。相手ブロックに触れたボールがアウトゾーンに落ち、優勝が決まった。

この瞬間、選手たちはコートに倒れ込み、つらく苦しい練習を経て、チーム一丸でもぎとった勝利を味わった。重圧に耐えた主将の亀岡は梅川監督のもとに駆け寄って抱き合い、仲間の手で6度、宙に舞った。(山本玲)

○駿台学園・梅川大介監督「本当に生徒がよく頑張ってくれた。特に3年生の頑張りでこの舞台に立たせてもらい、勝たせてもらった。感謝しかない」

「頑張ろう石川!」被災地にエール

強打で駿台学園の優勝に貢献した荒井貴穂(ひで)は石川県小松市の出身。能登半島地震で同県七尾市の自宅が大きく損壊した祖母、弘子さん(77)も駆けつけ、母、みづほさん(50)とともにスタンドで声援を送った。

父、昌亨(まさゆき)さん(50)も当初は上京する予定だったが、復旧作業のため取りやめた。「試合に集中させるため、息子に詳しいことは伝えていない」と、みづほさん。各選手を応援するボードには「絆」「北陸 共に頑張ろう!」といったエールが掲げられていた。(山沢義徳)

下北沢成徳、堅守崩せず

高さが武器の下北沢成徳だが、攻撃力を発揮できず、相手ペースで試合を進められてしまった。内沢主将は「相手の技術の完成度、プレーの丁寧さに圧倒された」と肩を落とした。

第1セット序盤から就実の早いトスに下北沢成徳のブロックが間に合わず失点を重ねた。相手の高い精度のサーブに揺さぶられ、本来の攻撃へとつなげられない。後藤のアタックもブロックされてしまう。第2セットも相手の堅い守りに攻めあぐねる状況が続いた。

後がない第3セット、イェーモンミャのスパイクを皮切りに小山のサービスエースなど6連続得点で同点に追いつく。しかし、簡単に突き放すことはできずに、一進一退の攻防が続くも、最後は河俣が放ったアタックがラインを割り、7年ぶり5度目の優勝はならなかった。「出だしのミスを修正できなかった」と小山。柳は「自分たちの力を発揮できずに負けてしまった」と悔やんだ。

全国高校総体と国体の優勝に続く「3冠」はあと一歩で逃したが、2年生エースのイェーモンミャは「今後1年やるべきことが多くある」と、来年度での3冠に照準を合わせた。(梶原龍)

●下北沢成徳・伊藤崇博監督「サーブであれだけ崩されると厳しい。力を発揮できなかったことは残念だが、それも含めてすべて実力」

ビビアン祖母、鹿児島から駆け付け

下北沢成徳の後藤ビビアン愛音(あいね)の応援に、祖母の良子さん(67)が鹿児島県南大隅町から駆け付けた。大応援団の中で、黄色いメガホンを手に「イケイケ、成徳」と声援を送った。

後藤は小学4年の時、両親らと離れ、祖父母が暮らす南大隅町で生活を始めた。良子さんは、そんな孫にバレーボールを勧めた。後藤は「何て面白いの」と、のめり込み、毎日練習に明け暮れ、力をつけた。

決勝で敗れ、優勝はならなかったが、良子さんは「ビビアンはまだ2年生。来年がある」と雪辱を期待した。(柏崎幸三)