【プレミアリーグ】リヴァプール 1-1 アーセナル(日本時間12月24日/アンフィールド) 遠藤航がいわゆる“リヴァプール式”に馴染んできたことを象徴するワンシーンだった。縦志向の鋭いダイレクトパスはまさにユルゲン・クロップ監督が好むプレー…
【プレミアリーグ】リヴァプール 1-1 アーセナル(日本時間12月24日/アンフィールド)
遠藤航がいわゆる“リヴァプール式”に馴染んできたことを象徴するワンシーンだった。縦志向の鋭いダイレクトパスはまさにユルゲン・クロップ監督が好むプレーだったのだ。
プレミアリーグ18節のアーセナル戦で4-3-3システムのアンカーで先発出場した日本代表MFは、持ち前の守備力でチームに貢献。地上でのデュエルこそ10回中5回の成功で50%に終わったが、空中戦のデュエル勝率は100%、インターセプトも2回成功させ、タックルも3回中3回成功とディフェンス力の高さが際立った。
アーセナル戦に向けた前日会見でリヴァプールのクロップ監督が、「遠藤はチームに何か違うものを与えている。彼はタックル担当の選手です。今の時代にタックルを趣味とする選手は20人もいない」と語った通りのディフェンス力を見せつけた。
一方でクロップ監督は、「遠藤のパスはとても優れており、意識も非常に高い。ポゼッション時の動きにも優れている。チームに馴染むのに少し時間がかかることもあるが、私にとって問題はない」ともコメント。攻撃時の能力も高く、今夏の移籍市場終盤にリヴァプールに加入した遠藤にはチームに馴染むのに時間を与えて欲しいという意味だろう。
実際、加入後に出番が限られチームに馴染むのに時間がかかった関係もあり、これまでの遠藤はオン・ザ・ボールの際にややもたつく場面が多かった。しかし、アーセナルとの首位攻防戦では、攻撃時のタスクもしっかり理解・遂行していた印象だった。
その象徴が、54分のワンシーンだ。敵陣でのプレスが効いてこぼれたボールを、ダイレクトでドミニク・ソボスライへパス。ルイス・ディアスを経由して、最後は左サイドからオーバーラップしたジョー・ゴメスのシュートに繋がった。
この遠藤のパスは、ダイレクトだったためアーセナル守備陣は惑わされていたし、何より横や後ろにも選択肢があった中で明確に「縦」を意識したチョイスをした点がとにかく素晴らしかった。
なぜならクロップ政権下のリヴァプールは、とにかく縦志向が強いからだ。中でもゲーゲンプレスやハイプレスで奪う/こぼれたボールを素早く縦に運んでゴールを狙う攻撃はいわば十八番。マンチェスター・シティやアーセナルなどボール支配を重視するチームならば、横や後ろに繋いでポゼッション確立を狙うシーンでも、多少強引でも縦にボールを送り込みフィニッシュに繋げるのがクロップ・リヴァプールだ。
クロップ監督が遠藤の縦パスから始まった一連のシーンに大きな拍手を送っていたのも、ビッグチャンスだったことはもちろん、リヴァプールのフィロソフィー通りの攻撃だったからだろう。
その意味でこのダイレクトパスは、「遠藤航がリヴァプール式の選手になってきた」何よりの証と言える。昨シーズンまでアンカーを担っていたファビーニョやジョーダン・ヘンダーソンも、守備の局面で身体を張りながら、鋭い縦パスでチーム戦術を支えていた。遠藤も“リヴァプールのアンカー”に求められるタスクを着実に理解しつつあるのだ。アーセナル戦のスタッツを見ても、48本中42本のパスを成功させて成功率は88%と攻撃面でも小さくない貢献を果たしている。
アンカーの主力であるアレクシス・マクアリスターが故障離脱し、公式戦6試合連続スタメンとチャンスを得た中で、日本代表MFはしっかりチームに馴染みつつある。現地時間12月26日のバーンリー戦、同1月1日のニューカッスル戦と続く年末年始のゲームでも、“リヴァプール式の遠藤”に期待したい。
(ABEMA/プレミアリーグ)