“トリッキー・トライアングル”ポコノで今季2度目の開催となったカップ・シリーズでは、カイル・ブッシュがポール・トゥ・ウィンで今季初勝利。約1年ぶりの勝利で年間チャンピオン戦の権利を得る“プレーオフ”進出をほぼ確実なものとした。また、この勝利…

“トリッキー・トライアングル”ポコノで今季2度目の開催となったカップ・シリーズでは、カイル・ブッシュがポール・トゥ・ウィンで今季初勝利。約1年ぶりの勝利で年間チャンピオン戦の権利を得る“プレーオフ”進出をほぼ確実なものとした。また、この勝利でトヨタはカップ・シリーズ通算100勝を達成した。アイオワで行われたエクスフィニティ・シリーズでは今季2戦目の出場となったライアン・プリースがキャリア初勝利。“トヨタ カムリ”は1-2フィニッシュ。ポコノで行われたトラック・シリーズでは、クリストファー・ベルが今季4勝目。“トヨタ タンドラ”はトップ3を独占した。

7月30日(日)、米国東部ペンシルバニア州ロングポンドのポコノ・レースウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第21戦「Overton’s 400」が開催された。
6月に第14戦が行われたポコノで今季2度目の開催。「トリッキー・トライアングル」ではデニー・ハムリンが通算4勝(うちトヨタで2勝)と得意にしているほか、マット・ケンゼスも2015年に勝利を挙げている。
今季序盤は苦戦したトヨタ勢だったが、シーズン後半に入って再三トップ争いを繰り広げており、特にこのポコノでは未勝利(2位2回)のカイル・ブッシュの今季初勝利に期待がかかった。 

30日(日)、今季5度目のポールポジションを獲得したカイル・ブッシュと、予選2番手のマーティン・トゥルーエクス・Jr.が最前列に並び決勝へ。この2台が1-2に並んでレースをスタートするのは今季4度目。
午後3時22分に2.5マイルトライアングルオーバルを50周、50周、60周の3ステージ合計160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。カイル・ブッシュは順調なスタートで首位をキープしたが、後方、15番手スタートのケンゼスがスピン。混乱状態となった後方グループで多重クラッシュが発生し、1周目から波乱の幕開けとなった。
ケンゼスの車両ダメージは軽微だったがピットインを強いられ最後尾近くまで後退。再スタート後も、カイル・ブッシュが首位、トゥルーエクス・Jr.が2位、これに4番手スタートのハムリン、8,9番手スタートのルーキー、ダニエル・スアレツとエリック・ジョーンズも続き、“トヨタ カムリ”勢が上位を占めての序盤戦となった。
その後は大きな波乱は無く、ステージ1はカイル・ブッシュが制し、今季8度目のステージウィン。トゥルーエクス・Jr.が2位、ハムリンが7位に入った。
ステージ2へ向け、各車ピットへ向かったが、ケンゼスは序盤ピットインしていたためピットタイミングをずらし、ステージ1の最後にピットに入ってここでは入らず。他の全車がピットインしたため首位に立った。一方で、ハムリンは痛恨のピットロードスピード違反。29位へと大きく後退。
ケンゼスとカイル・ブッシュが並んでステージ2の再スタートを切ったが、ハンドリングに苦しむケンゼスをカイル・ブッシュはすぐにかわし、再び首位を独走。
ステージ2は開始直後と中盤にイエローコーションが発生したため、ピット作戦が分かれた。多くの上位勢が中盤ピットインしたのに対し、ピットタイミングをずらしたハムリンが74周目に首位浮上。一方でカイル・ブッシュは突然のハンドリング不調に見舞われポジションダウン。
ステージ2終盤、ハムリンは予定通りピット進入禁止になる前にピットイン。カイル・ブッシュを含む多くの上位勢もここでピットへ向かった。このため、ステージ2でのトヨタ勢は下位に沈むこととなったが、ステージ2終了後、上位勢がピットへ向かうのに対し、トヨタ勢はコース上に残り、トゥルーエクス・Jr.が首位、ハムリンが2位、カイル・ブッシュが5位、ケンゼスが6位、スアレツが7位で再スタート。
首位を逃げるトゥルーエクス・Jr.にハムリンとカイル・ブッシュが続き、“トヨタ カムリ”は1-2-3体勢となった。
ステージ3はイエローコーションの出ない展開となり、残りが35周を切ったあたりから各車グリーンフラッグ下でピットへ。まず1-2につけていたトゥルーエクス・Jr.とハムリンが入り、カイル・ブッシュはかなり遅らせてピットイン。全車がピットを終えた時点で、ハムリンが首位、トゥルーエクス・Jr.が3位、カイル・ブッシュは4位につけていたが、他車よりも新しいタイヤの優位性を活かしたカイル・ブッシュが猛追。143周目にトゥルーエクス・Jr.をかわすと、ハムリンとライバルとのサイド・バイ・サイドの首位争いの後方につけ、144周目に首位奪還。
首位に立ったカイル・ブッシュはみるみるうちに後続との差を広げていき、最後は6秒もの大差をつけトップチェッカー。今季リードラップやステージウィンではトゥルーエクス・Jr.に次ぐ成績を残しながら未勝利だったカイル・ブッシュがようやく初勝利を挙げた。昨年のインディアナポリス戦以来ほぼ1年ぶりの勝利となった。
そして、トヨタにとって、この勝利は2007年にカップ・シリーズに参戦を開始して以来、記念すべき通算100勝目。2008年のアトランタでトヨタに初勝利をもたらしたカイル・ブッシュが、100勝目も飾ることとなった。
この勝利で、カイル・ブッシュはシーズン終盤の10戦でタイトルを争う“プレーオフ“進出をほぼ確実なものとした。また、カイル・ブッシュは現在カップ・シリーズが行われているコースのほとんどで勝利を挙げているが、未勝利だったここポコノで勝ったことで、残すはシャーロットのみ(エキジビション戦のオールスターでは勝利あり)となった。
トゥルーエクス・Jr.が3位、ハムリンが4位。スアレツがルーキー最上位の7位、エリック・ジョーンズはステージ3スタート時にホイールが緩むトラブルに見舞われたが追い上げ8位。ケンゼスが9位に入り、“トヨタ カムリ”勢は6台がトップ10フィニッシュを果たした。 

次戦第22戦は8月6日(日)、米国東部ニューヨーク州ワトキンス・グレンのロードコース、ワトキンス・グレン・インターナショナルで行われる。 

ドライバー カイル・ブッシュ
「ようやく、という気分だ。今年これまでは不満の残る結果が続いていたが、今日は最高の一日になった。トヨタにとっての100勝目を上げることが出来、これまでサポートしてくれたチームやスポンサー、全ての人たちに感謝したい。クルーチーフやピットクルーも毎週素晴らしい仕事で支えてくれている。特に今日の最後のピットストップでは、タイムロスは最小限にしなくてはならなかったし、彼らのおかげで勝てた」