■先発蒔田は5イニングで4回得点圏に走者背負うも無失点 昨季まで3季連続優勝中の明大は15日、東京六大学野球秋季リーグの…

■先発蒔田は5イニングで4回得点圏に走者背負うも無失点

 昨季まで3季連続優勝中の明大は15日、東京六大学野球秋季リーグの慶大2回戦に1-0で競り勝ち、1勝1敗のタイに持ち込んだ。好調の慶大打線に10安打を浴びながら、3投手の継投で零封。相手に2桁安打を許しながら、3安打で勝ち切ったところに伝統の粘り強さが発揮されていた。再び同率首位に並んだ両チームは、16日の3回戦で雌雄を決する。

 明大先発の右腕・蒔田稔投手(4年)は、4回までに3度も得点圏に走者を背負いながら、最後の一線だけは越えさせない。3回には2死満塁と追い込まれるも、6番の斎藤來音外野手(4年)を遊ゴロ。4回には2死一、二塁で今秋ドラフト上位候補の廣瀬隆太内野手(4年)を迎えたが、カウント1-2から外角低めいっぱいのストレートで見逃し三振に斬った。「インコースに真っすぐをしっかり投げ切れていたことが、無失点で抑えられた要因だと思います。だからこそ、カーブでカウントを取れましたし、追い込んでからアウトローの真っすぐで決めることもできました」とうなずいた。

2番手でマウンドに上がった久野【写真:田中健】

 ただ、1点リードの5回、2死から連打で一、二塁とされ、左打者の7番・水鳥遥貴外野手(3年)を迎えると、投球数が95に達していたこともあって、田中武宏監督は交代を決断した。左腕では、蒔田らとともにプロ志望届を提出済みの石原勇輝投手(4年)もブルペンに控えていたが、田中監督が指名したのは2年生の久野悠斗投手だった。

 指揮官は「石原は最後に取っておきたい気持ちがあった」と明かした上で、「去年と比べると、明らかに投げられるピッチャーの数が増えている。去年なら、あそこは蒔田を続投させていたと思いますが、今年は力のある球を投げるピッチャーがたくさんいます。そこは大きな違いですね」と吐露した。久野が水鳥をカウント1-2と追い込み、インハイの144キロの速球を振らせて三振に仕留めた瞬間、ベンチに戻っていた蒔田が誰よりも大きな雄たけびを上げ、派手なガッツポーズを繰り出していた。

 7回からは3番手として、3年生右腕・浅利太門投手が登場。こちらも今春デビューしたばかりの“新顔”だが、186センチの長身から投げおろす速球を軸に、3イニングを2安打無失点に抑え、虎の子の1点を守り切った。「慶応さんは右打者が多く、右投手の強いボールを嫌がっているように見えたので、浅利を早めに用意していました」と田中監督。9回2死から四球で一塁に走者を出した時には、「石原に代えようかと思った」そうだが、捕手の小島大河(2年)の「浅利さんでいかせてください」という言葉に従い続投を指示。「受けているキャッチャーが一番よくわかりますから」と選手との信頼関係の強さをうかがわせた。

マウンド上で言葉を交わす田中監督・浅利-小島バッテリー【写真:田中健】

 一方、唯一の得点は4回、1死満塁で7番の岸本一心外野手(1年)が打ち上げた中犠飛によるものだった。岸本は今季デビューしたばかりで、スタメンは2度目。田中監督は「夏場からいろいろな選手を試した中で、しぶとさで目立っていました。何か起こすのではないかという期待感がある。いい選手を学年に関係なく使っています」と説明する。昨年の春から優勝し続けている中でも、新戦力が着実に育っているのは強みだ。

 9月下旬の早大との対戦でも、先に1回戦を取られたが、2、3回戦に連勝し、勝ち点は落とさなかった。勢いのある慶大にも、連敗はしなかった。このあたりには、田中監督が「これまで先輩方がずっと続けてきたこと」と述懐する明大伝統の粘り強さが生きている。良質の伝統を引き継ぎながら、常に下級生が成長し、上級生を突き上げる。明大の牙城は他大学にとって、まさに難攻不落である。