私たちは、自分の意思や感情を言葉で表現しがちです。特に指導者やコーチの立場にある人々は、言葉によって意見を交わします。だからこそ、選手がどんなことを感じているか?コーチにちゃんと伝わっているのか?言葉を使って、ズレを埋めていく作業が生まれま…

私たちは、自分の意思や感情を言葉で表現しがちです。

特に指導者やコーチの立場にある人々は、言葉によって意見を交わします。

だからこそ、
選手がどんなことを感じているか?
コーチにちゃんと伝わっているのか?

言葉を使って、ズレを埋めていく作業が生まれます。

【関連記事】【スポーツメンタル】侍ジャパンが最高の教科書、アスリートのための”心理的安全性”

しかし言語化とは単に他人に自分の意図や感情を伝えるための手段だけではありません。

もちろん、コミュニケーションの一環として言葉を使うことは重要です。

しかし、言葉だけが意味を持つわけではありません。

スポーツにおいては、重要なことは言語化ではないのです。

それは、身体の動きや表情、感情の流れを自己表現することになります。

それがスポーツです。

自己表現とは、自分自身が内に秘めた意思や感情を自由に表現することです。

言語化はその一部であり、自分自身を理解する為の手段です。

なので、技術や感情を言語化しても「伝える」「伝わる」を目的にしてはいけないのです。

それ以上に技術や感情を言語化して自分だけが理解することが大事なのです。

例えるならば、私たちは100%イチローさんの打撃理論を理解することはできません・・・

身体も違う。

育った環境も違う。

食べてきたものも違う。

違いだらけです。

なのに言葉で相手が話すことだけを理解できたら恐ろしいと思いませんか?

なので、伝えることを目的とした言語化には限界があると思っています。

それが目的になってしまうと無駄にストレスです。

他人の理解や評価に左右されることなく自分を表現することが大事なのです。

言語化とはそのための手段であり、他者に認めてもらうことではないのです。

そのために、相手から言葉を引き出すメンタルコーチングを採用しています。

言葉に囚われず、身体の動きや表情、感情の流れを通じて自分のパフォーマンスを高めていくことができます。

スポーツは言葉にとらわれずに自分を解放する作業なのです。

その自由な表現の世界だけに言葉では理解できない世界があります。

それを「ゾーン」とも呼べると思うのです。

言語化を否定したいのではなく、言語化で見失ってしまう目的があります。

上手くなることと、理解してもらうことは別です。

一流の技術ほど、伝わらない世界ってないです。

理解しようと努めますが、100%の理解は不可能だと思っています。

いい意味で諦めているからこそ、私自身が伝える言葉でも伝わりきれないと思っています。

いい意味での諦めかもしれませんが・・・

だからこそ、言語化(伝えること)で悩んでいたら言語化を手放してみてください。

言語化(理解してほしい)と思ったら自分だけの言葉で突き抜けてみてください!

[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

【関連記事】【スポーツメンタル】メンタルコーチングを受ける事が「心の弱さ」を認めることに繋がるのか?

【関連記事】かつての女房役、鶴岡慎也氏が明かすWBCを通じたダルビッシュの苦悩「実戦で投げられなかったのが…」

【関連記事】【セルフハンディキャッピング】つい言い訳してしまう人の心理とは

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。