6月10日放送の『卓球ジャパン!』は、先週に引き続き、世界卓球2023女子シングルス準々決勝・早田ひな対王芸迪(中国)をプレイバック。歴史に残る激戦となった最終ゲームをじっくりDEEPに振り返った。

ゲームカウント3-2から3-3に追いつかれた第7ゲーム。緩急をつけたプレーが相手にも対応されつつあり、「ここで何を変えればいいのか、あるいは変えないほうがいいのかというところはすごく難しい」とMC平野早矢香。

そんな中、早田はチキータで仕掛けるのではなく、長いツッツキを送り、相手にかけさせてカウンターで狙う戦術に変更。ロングサーブも効いて、5-2と前半をリードで折り返す。

しかし中盤は緩く送ったボールなどにミスが出てしまい、8-5から5連続失点で8-10。相手が先にマッチポイントとなるのだが、ここから早田が驚異的な粘りを見せ、誰も想像できなった死闘がスタートする。

まず最初のマッチポイントは、両サイドに来る相手の強打にも必死に食らいつき超高速のラリーを早田が制す。1球でもミスすれば終わるという状況で、これだけ質の高いプレーができる早田はさすがだ。

ただし9-10とまだ絶体絶命。「もう1回あのクオリティ(のプレー)を出さないといけないのは、心が折れそう」とMC武井壮。

しかし強気の姿勢を貫く早田は、次のラリーもストレートへのバック強打で得点。「これよく攻めた!」と平野も驚いたプレーだ。

10-10と追いついたものの、ここからは相手が先制して早田が追いつく苦しいシーソーゲーム。そんな極限の状況の中、早田が笑顔を見せる場面も。

「どうしよう......という表情じゃないですもんね。いいプレーをしてポイントをもぎ取ってやろうって、楽しみ始めてる」(武井)

うまく自身のメンタルをコントロールした早田は、相手のマッチポイントをしのぎにしのいで14-14。そして次のプレーは相手のフォアサイドを突いて得点し、15-14とついに早田がマッチポイント。このワンチャンスをなんとかものにしたいところだが、王芸迪も一歩も引かず、次のラリーはパワフルなフォアドライブを決められ追いつかれる。

15-15となって、次は相手のサーブをチキータで狙った早田がレシーブミス。

「サーブミス、レシーブミスの時に一番流れが変わるので、見ていてイヤな感じだと思いました」(平野)

このまま敗れてしまうかと思われたが、15-16で王芸迪がレシーブをミスをするまさかの展開。

このままお互いに点を奪い合い、18-18で再び早田がレシーブをミスをするも、直後の18-19で相手がまたもレシーブミス。マッチポイントでなかなか得点できずにいる王芸迪。焦りの色が出ているのは明らかだ。

そして19-19となって、早田はチキータではなく、フォアツッツキレシーブを選択。相手にバックドライブでかけさせて次を狙う戦術に切り替え見事得点した。

20-19。早田にとって3度目のマッチポイントは、3球目バックドライブからの5球目バックハンドが相手のフォアサイドをノータッチで抜いて得点。9度のマッチポイントをしのいだ早田が、21-19という驚異のスコアで勝利をおさめた。

技術、戦術、そしてメンタルで中国選手と互角以上に渡り合った早田。世界卓球女子シングルスにおいて中国選手を破ってのメダル獲得は実に58年ぶりの快挙だ。

続く準決勝は世界ランク1位の孫穎莎から1ゲームを奪うも1-4で敗退。決勝進出はならなかったものの、中国勢のメダル独占を阻止する大きな偉業を成し遂げた。

「卓球ジャパン!」BSテレ東で毎週土曜夜10時30分放送