立大の沖政宗投手(3年)は8日、東京六大学春季リーグの東大2回戦に先発し、3安打無四球で完封。チームに今季初勝利をもた…
立大の沖政宗投手(3年)は8日、東京六大学春季リーグの東大2回戦に先発し、3安打無四球で完封。チームに今季初勝利をもたらした。6回までパーフェクトに抑える快投だったが、完封どころか完投もリーグ戦初。それでも「最初から完投だけを目標にマウンドに上がりました」と明かした。
6回終了時点で、東大に1人の走者も許していなかった。「(走者が)出ていないなとは思いましたが、(完全試合は)全く意識はしていませんでした。(斎藤)大智(内野手)がいい当たりのサードライナーを捕ってくれて、あそこでヒットが出ていたようなものですから」と振り返る。5回の守備で2死から痛烈なライナーをジャンプして好捕、打っても3回に先制ソロを放って援護してくれた同級生の斎藤大に対して、感謝を口にした。
7回先頭の酒井捷外野手に左前打され、大記録達成の可能性は消えた。2-0とリードして迎えた9回にも2死から連打を許し、一、二塁のピンチを背負ったが、落ち着いて最後の打者を三ゴロに打ち取り、112球で勝ち切った。「点数は取られてもいい。自分1人で投げ切って勝つことだけを考えていました」と言う。沖はリーグ戦で1度も経験したことがなかった完投に、なぜそこまでこだわっていたのだろうか。
立大は12季ぶりの優勝を目標に臨んだ今季、試合前の時点では白星なしの4敗2分け。東大と並び最下位に沈んでいた。今季からエースの池田陽佑(4年)に次ぐ先発の柱を任されている沖自身、2度の先発機会でいずれも黒星を喫していた(他に救援で2試合に登板)。6日の東大1回戦も、最大5点リードしながら、8回に小畠一心投手(2年)がまさかの同点満塁弾を浴び引き分けた。
沖は「僕たち投手陣が粘り切れない試合がほとんどで、申し訳ない気持ちでした。今日は自分で勝手に、自分が投げ抜いて勝つと決めていました」と力を込めた。ただ勝つだけでは気が済まないほど、フラストレーションがたまっていたようだ。そんな右腕の姿に、溝口智成監督は「完投してくれとは言っていなかったが、戦う気持ち、気迫は感じていました」と目を細めた。

胸に秘めた決意は熱かったが、投球は冷静そのもの。ストレートは大半が130キロ台にとどまるも、変化球をまじえて丁寧に低めに集めた。時おり肘を下げてサイドスローで投じ、相手打者を幻惑。「試合でサイドで投げるようになったのは、大学に入ってから。僕は真っ直ぐの速さでは他の投手に劣るので、どうやって生き残るかを考えました。普段上から投げているのとは球質も変わる。サイドで投げた時に1球見逃してもらえれば、有利になりますから、決め球というより、楽に追い込むために使っています」と説明する。
福島・磐城高3年の2020年には、21世紀枠で選抜出場が決まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で中止。代替として行われた1試合限りの交流試合では、8回を114球で投げ切るも東京・国士舘に惜敗している。
立大進学後、昨年は2年先輩で楽天にドラフト1位で入団した荘司康誠投手と寮の2人部屋で同室だった。「僕は野球の知識がなかったので、最初は全て荘司さんのまねをすることから始めました。特にウオーミングアップのやり方です。投手は調子が良くても悪くても、ある程度の投球ができることが大切で、それはウオーミングアップにかかっている。荘司さんとは今も連絡を取っています」と明かす。
口調は飄々としているものの、人一倍の闘志と、逆境をものともしない芯の強さを感じさせる沖。立教の“最後の砦”だ。
(Full-Count編集部)