Sportiva注目若手アスリート「2023年の顔」第17回:成田実生(競泳) 2023年にさらなる活躍が期待される若手アスリートたち。どんなプレーで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。パリ五輪に向けて、まずは今…

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顔」
第17回:成田実生(競泳)

 2023年にさらなる活躍が期待される若手アスリートたち。どんなプレーで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。



パリ五輪に向けて、まずは今年の世界選手権での活躍が楽しみな成田実生

 世界水泳福岡大会(2022年5月から2023年7月に延期)の代表選考として、2022年3月に行なわれた、競泳の国際大会日本代表選手選考会。そこで驚く結果を出して注目されたのが、当時まだ中学3年生の成田実生(金町SC)だった。

 前年の東京五輪個人メドレー2冠の大橋悠依(イトマン東進)や、400m個人メドレー出場の谷川亜華葉(イトマン/四條畷学園高)も出場していた、大会2日目の女子400m個人メドレー。谷川が最初から飛ばす展開のなか、2泳目の背泳ぎで大橋を交わすと、次の平泳ぎでさらに差を広げ、前にいた谷川を追い込むと、最後の自由形で0秒26差まで迫り、大橋を抑えて2位でゴール。世界ジュニア新記録(4分36秒71)で、世界選手権参加標準記録Ⅱを突破する好タイムだった。

ただ、大橋が2021年東京五輪の金メダルで世界選手権代表を内定させていたため、初の世界選手権代表はならなかったが、堂々たる泳ぎを見せて9月のアジア大会(のちに延期)の代表は手にした。

「最後は競っていたので悔しい気持ちはあります。大会前から緊張していたけど(この大会を)前から目標にしていたので強い気持ちで泳げました。予選では、東京五輪を『すごいな』と思って見ていた大橋さんの隣のレーンで泳げたのがすごくうれしかったです。弱気にならず自分の泳ぎをできました。タイムはあまり考えずに泳いでいましたが、自己ベストが4秒くらい縮まったのですごくうれしい」

 こう言って喜んでいた成田は、翌日の200m個人メドレーでも予選を2位通過すると、決勝では東京五輪400mリレー出場の大本里佳(ANAイトマン)と大橋には敗れたものの、2分12秒13で3位に。日本のトップ選手と戦えたことは成田にとって自信になった。

「目標にしていた中学記録と派遣標準突破はできなかったですが、自己ベストは出たのでこれからは上位選手に追いつけるように頑張りたい」

 そしてこれからの目標については、400mで谷川が出した高校記録にもう少しと迫っているのもかかわらず、「来月から高校生になるので、インターハイに出場出来たらメダルを獲れるように頑張りたい」と控えめな発言で周囲を微笑ませた。

【2023年世界選手権で見たい】

 それでも実力は本物で、2022年4月末からの日本選手権では200m背泳ぎで優勝すると、個人メドレーも400mは3位、200mは大本を抑えて2分11秒41の自己新で大橋に次ぐ2位になった。

 8月には、代表選考会で話していたインターハイではなく、その直後の8月24日からアメリカのハワイで開催されるジュニアパンパシフィック選手権と、30日からペルーのリマで開催される世界ジュニア選手権の連戦に挑戦。ジュニアパンパシでは、予選で2分11秒41の自己新を出した200m個人メドレーと400m個人メドレーで優勝して2冠を獲得し、200m背泳ぎは2分09秒67の自己新で2位になった。

 さらにそのあとの世界ジュニアでも200m背泳ぎは4位だったが、200m個人メドレーは2位に1秒77差をつける2分11秒68で優勝し、400m個人メドレーも2位に6秒41差の大会新の4分37秒78で圧勝して2冠を獲得と、一気に羽ばたき始めた。

 そして9月の国体では少年B200m個人メドレーを2分10秒27の大会新で制すると、少年B100m背泳ぎでも優勝。12月のジャパンオープンでは個人メドレーの200mと400mで2冠と結果を出し続けた。

 東京五輪2冠の大橋は今後、200m個人メドレーに絞る可能性もあるだけに成田の世界挑戦への期待は高い。

 彼女の400m個人メドレーのベストである4分36秒71は、昨年の世界ランキングでは10位の記録で、6月の世界選手権決勝と比較すれば4位に相当する。4月4日からの日本選手権で2位以内に入って派遣標準記録を突破すれば、7月の世界選手権福岡大会や、その後の延期となったアジア大会への道も開ける。

 16歳になった成田が今年、初のシニアの大舞台に登場し、その道を大きく広げる可能性は高い。

Profile
成田実生(なりた みお)
2006年12月18日生まれ。東京都出身。金町スイミングクラブ所属。
2022年国際大会代表選考会で、中学3年生ながら400m個人メドレーで、日本のトップクラスの選手のなかで2位に入るなどパリ五輪に向けて、次世代の日本代表として注目された。その後、淑徳巣鴨高校に進学し、今年は世界選手権福岡大会への出場などシニアでの活躍が期待されている。