11月5日、東京六大学野球秋季リーグの最終週1日目が行われ、熱戦の末に早大が5対4でサヨナラ勝ち。今カードで優勝のかかる慶大に先勝した。 シーソーゲームを制した早大ナイン。小宮山監督も「誇りに思う」と語った ここまで勝ち点4(8勝3敗1…
11月5日、東京六大学野球秋季リーグの最終週1日目が行われ、熱戦の末に早大が5対4でサヨナラ勝ち。今カードで優勝のかかる慶大に先勝した。
シーソーゲームを制した早大ナイン。小宮山監督も「誇りに思う」と語った
ここまで勝ち点4(8勝3敗1分)の2位・慶大と、勝ち点3(6勝2敗)の3位・早大の対戦。初戦の東大戦に敗れるスタートも全カードで勝ち点を挙げてきた慶大は、今カードで勝ち点を獲得すれば昨秋以来通算40度目の優勝が決まる。その大一番に、今季9試合(先発7試合)で6勝0敗、防御率1.42のエース・増居翔太(4年・彦根東)が先発。一方、今春の早慶戦で2連敗した借りを返したい早大は、今季4試合(先発3試合)に登板して2勝1敗、防御率0.88の加藤孝太郎(3年・下妻一)が先発。スタンドを埋め尽くした約2万2000人の観衆の下で試合が始まった。
早大の先発・加藤は序盤から丁寧なピッチングでゼロ行進を続けた
試合の主導権を奪ったのは早大だった。1回裏、1番の熊田任洋(3年・東邦)がカウント1−1からの3球目をライトスタンドへ放り込む先頭打者本塁打。幸先良く先制点を奪うと、投げては先発の加藤が丁寧にコーナーを突くテンポの良いピッチングで6回まで3安打無失点のピッチング。そして6回裏、この回先頭の松木が内野安打で出塁し、犠打で一死二塁とすると、今季ここまで打率.143(28打数4安打)でノーアーチ、「今までチームに迷惑をかけていた」と不振に喘いでいた4番・蛭間拓哉(4年・浦和学院)が、「今日は打てるような感覚があった」とセンターバックスクリーンへの今季1号となる2ラン本塁打。早大が主砲の“目覚め”の一発でリードを3点に広げた。
6回裏、早大の4番・蛭間が待望の今季1号アーチ。この日3安打と活躍した
完全に試合のペースを握られていた慶大だったが、8回表に反撃。先発の増居に代わった代打・本間颯太朗(2年・慶應)の内野安打の後、主将の2番・下山悠介(4年・慶應)が左中間を破るタイムリー二塁打。そして2死二、三塁から5番・山本晃大(4年・浦和学院)がショートの頭上を越えるタイムリー。ここまでほぼ完璧に抑え込まれていた加藤をチーム一丸で打ち崩して試合を振り出しに戻すと、続く9回表には途中出場の吉川海斗(3年・慶應)が高めのカーブに「体が勝手に反応してくれた」とライトポール側へ自身リーグ戦初本塁打を放ち、慶大が勝ち越しに成功した。
しかし、試合は終わらない。9回裏、この回先頭の6番・吉納翼(2年・東邦)がヒットで出塁すると、犠打成功の後に8番・山縣秀(2年・早大学院)がセカンドの前に絶妙のプッシュバントを決めて1死一、三塁。そして次打者が四球で満塁になると、ここで打席に入った2番・松木大芽(4年・金沢泉丘)が2ストライクに追い込まれながらも「執念で打てた」と食らい付き、打球は詰まりながらもライト前へ。2者が生還し、ゲームセット。劇的なサヨナラ決着となった。
9回裏、サヨナラ打を放った松木にナインたちが駆け寄る。執念の一打だった
■慶應義塾大vs早稲田大1回戦
慶大 000 000 031=4
早大 100 002 002x=5x
【慶】増居、●橋本達-宮崎
【早】加藤、○原-印出
本塁打:慶大・吉川《9回ソロ》、早大・熊田《1回ソロ》、蛭間《6回2ラン》
◎早稲田大・小宮山悟監督
「非常に素晴らしい試合が出来たので、選手たちを誇りに思います。優勝がなくなって、やもすると気持ちが切れてしまうことも考えられましたが、本当に彼らは必死になっていた。(慶大には)春に負けているということもあって、何とか意地を見せるんだという練習をしてくれていた。継投ミスで星を落とすところを、最後に粘って粘って繋いで繋いで、いい試合を見せてくれました。(9回裏2死満塁の場面は)明日も試合があるという状況でしたので、何とか明日に繋がるような粘りを見せてくれたらいいと思って見ていた。そういう中で逆転タイムリー。執念のヒット、立派なヒットだと思います」
◎早稲田大・松木大芽(4年・金沢泉丘)
「フォークがいいピッチャーだと分かっていましたし、準備してきた。なかなか打てなかったんですけど、何とかバットに当てようと思って(外野の前に)落ちてくれたんで良かったです。監督も仰ったように、何とか執念で打てたと思います」
◎早稲田大・蛭間拓哉(4年・浦和学院)
「(今季1号)ホントにチームに迷惑をかけてばかりだったので打てて良かった。優勝はなくなってしまったんですけど、早慶戦は特別な思いがありますし、その一戦で打てて良かったです。2年前の早慶戦で(本塁打を)打つことができましたけど、そこで終わってしまう選手にはなりたくなかった。4年生になって、ああいう場面で打てたのですごく自信になりました。早慶戦に勝ったということは自信になった。何とか明日も勝って、自分の集大成にしたい」
◎慶應義塾大・堀井哲也監督
「よく追い付いてくれたんですけどね。加藤君のピッチングが非常に丁寧で、打ちあぐねたのが苦しんだ要因。それから最後、しつこく食らいついてくるところはやはり、向こうの意地を感じました。(優勝が目前で)打線に硬さはあったのかも知れませんが、それよりも加藤君のピッチングが良かった。選手の方からも前半我慢して中盤から終盤勝負だという声は上がっていましたし、割と冷静に試合は運べたと思います。勝敗はベンチの責任。何かが一歩及ばなかったんでしょうけど、選手たちはよくやったと思います。(明日は)まずは先発ピッチャーの出来。どう打ち崩すか。お互い手の内も分かっている中で終盤の攻防が鍵になると思います」
◎慶應義塾大・吉川海斗(3年・慶應)
「打ったのはインコースのカーブ。僕の役割は塁に出ること。必ず出塁するんだという気持ちで打席に入りました。体が勝手に反応してくれた。春も秋も打席に立たせてもらって練習もして来たので、その成果が出たと思います」
◎慶應義塾大・萩尾匡也(4年・文徳)
「(本日無安打も)状態はいい。今日は加藤投手がいいところに投げていた。チームとしてどうしても勝ちたいという中で硬さはあったかなと思う。苦しい状況にはなりましたけど、明日以降、今までと変わらずに勝ちにこだわってやって行きたい。今日はチャンスの場面で打てなかったので、明日は打てるようにしっかりと準備したい」