明大は立大に1-0で勝利し春秋連覇に望みをつないだ【写真:中戸川知世】 明大は29日、神宮球場で行われた東京六大学野球秋…

明大は立大に1-0で勝利し春秋連覇に望みをつないだ【写真:中戸川知世】

 明大は29日、神宮球場で行われた東京六大学野球秋季リーグで、立大との1回戦に1-0で先勝。このカードであと1勝し勝ち点を取れば、最終週の早慶戦の結果しだいで春秋連覇の可能性が生まれる。崖っぷちの戦いでは試合巧者ぶりが光り、わずか1安打で競り勝った。一方の立大は既に4位が確定している。

「これでも勝てるのですね。改めて、野球はわからない……」。61歳の明大・田中武宏監督は試合終了直後、ため息まじりにこう振り返った。初回の攻撃で、楽天からドラフト1位指名された立大先発・荘司康誠投手(4年)に対し、こちらも中日から2位指名を受けた先頭・村松開人内野手(4年)が四球を選び出塁。1死後、荘司の2球連続暴投で三塁に進み、3番・宗山塁内野手(2年)の左前へポトリと落ちる適時打で先制のホームを踏んだ。

 まさか、これが両チームを通じて唯一の得点になるとは、田中監督も予想していなかっただろう。しかも、明大が放ったヒットは、この宗山のタイムリー1本のみ。2回以降に出した走者は、3回先頭で四球を選んだ9番の村田賢一投手(3年)ただ1人だった。

 両チームとも、2週間ぶりのリーグ戦。田中監督は「打線は実戦を離れると、どうしても感覚を失ってしまう。紅白戦をやったとしても、内角をグイグイ突くわけにはいきませんから。しかも、相手の先発が荘司君ですから、今日の気温同様、打線は寒いだろうと、試合前から薄々気付いていました」と苦笑する。実際、荘司が落ち着きを取り戻した2回以降は、最速152キロの速球と140キロ台のスプリットに翻弄された。

主将としてチームを引っ張り明大・村松開人【写真:中戸川知世】

 だからこそ初回、先頭の村松がカウント1-2と追い込まれながら、外角高めの際どいコースを3球見極め四球で出塁した価値は非常に高い。田中監督は「彼の一番いいところは選球眼ですから」と称えた。さらに村松は1死後、荘司の低めの変化球を、2球続けて捕手が弾いたところを見逃さず二塁、三塁を奪った(記録はいずれも暴投)。「本当は盗塁を狙っていたのですが、相手のミスを見逃さず、付け入ることができてよかった」と村松は笑った。

 守っては、先発の村田が6回を3安打無失点に抑え、7回以降は渡部翔太郎投手(4年)が虎の子の1点を守り切った。時おりボテボテのゴロが転がっても、明大の内野陣が慌てることはない。主将でもある村松は「こういう接戦の展開は、明治にはよくあること。焦ることなく自分のやるべきことに集中し、1球に対する執着心を持ってやれたと思います」と胸を張った。

 対照的に、立大は初回に2安打で1死一、二塁の先制機をつくるも、4番の山田健太内野手(4年)が投ゴロ併殺に倒れ、試合の流れをつかめなかった。溝口智成監督は「明治さんはバッテリーエラーとポテンヒットで1点を取り、ウチは少ないチャンスをモノにできなかった。野球とはそういうものです。1本のヒットや1つのミスが勝敗を分けます」と脱帽するしかなかった。

 戦力に差があるわけではない。接戦になるほど、明大の伝統とも言えるそつのなさが際立つ。他力本願の状況ではあるが、したたかに優勝に近づいている。