神奈川・小田原市城山陸上競技場で関東大学対抗戦(対抗戦)の第4節が行われた。対抗戦のヤマ場となった試合前、肩を組みそろ…

 神奈川・小田原市城山陸上競技場で関東大学対抗戦(対抗戦)の第4節が行われた。対抗戦のヤマ場となった試合前、肩を組みそろえて塾歌を斉唱し一体感をより高めた慶大。前半は、互いに規律の乱れからチャンスを生かすことはできず。1点ビハインドで迎えた後半、少ないチャンスをものにした慶大は逆転に成功。見事、筑波大を相手に4年ぶりの対抗戦勝利を収めた。

 筑波大ボールで始まった一戦。序盤は両チーム固くなりなかなかゲームが動かない中、11分、相手のオフサイドにより、中央でペナルティーキックを獲得。これをSO中楠一期が冷静に決め、慶大が先制。しかし17分、ペナルティーにより自陣22メートル付近で相手ボールラインアウトを献上。そこからモールで押し込まれ、最後は中央付近でゴールラインを割られてしまう。キックも決められ、その後は相手の好守と自分たちのハンドリングエラーが相まって、チャンスを生かしきることができない。43分に相手のノットロールアウェイによって獲得したペナルティーキックで3点を追加し、6ー7。1点を追いかけ前半を終えた。


トライを決めるWTB佐々木隼

 迎えた後半、先に点を取ったのは筑波大。11分、22メートル付近でのラインアウトから、中央に展開され、最後は大外にいた選手に後ろから走りこまれインゴールを明け渡してしまう。しかし慶大の反撃は早かった。14分、左右にボールを展開する流れのなかで、ロックアイザイアマプスアが強靭(じん)なフィジカルを生かし大きく前進。最後は大外から走ってきたWTB佐々木隼がこの日慶大初トライを挙げた。直後には中楠がコンバージョンキックも沈め逆転に成功した。31分、今試合最大のピンチが訪れる。ハイパントキックの処理の際、NO・8髙武俊輔が相手の上から被さるような形になってしまったプレーが危険と判断され、シンビンに。一気に劣勢に転じるかとも思われた慶大。しかし、「想定外の中でもパニックにならなかった」(中楠)。佐々木もスクラムに加わるなど全員で協力してしのぎ、ディフェンス面で奮闘を見せると、40分には、ラインアウト後の攻撃で相手の反則を誘い、再びペナルティーキックを獲得。数的不利のなか、大きい3点を追加した。その後も、CTB永山淳の好タックルで相手のミスを誘うなど、好守をみせ、16ー12でノーサイド。点差の広がらないシーソーゲームに見事全員で勝利をつかみ、喜びを爆発させた。


筑波大に勝利し、抱き合って喜ぶ慶大の選手たち

 「1週間、本戦に向けて部員全員で気持ちを再確認し100%の準備ができた」(フランカー今野勇久主将)。特に前半は規律が乱れ苦しい場面も見られたが、全体を通してコミュニケーションを活発に取る姿が目立った。1トライながら貴重な一勝を手にしたことは大きな自信につながるに違いない。しかし今節で課題として出た、ゴール前での決定機を決め切る点を修正し、チーム一丸となって次節の明大戦に臨みたい。

 (記事 戸祭華子、写真 森田健介)

コメント ※記者会見より抜粋

栗原徹監督

――今日の試合の総括をお願いします

 筑波大学さんには3年間負け続けていたということで、今のチームに筑波大学に勝った経験のある選手はいませんでしたので、本当にしっかりと準備してチャレンジした一戦でした。結果的に勝利が転がっていることもあればそうでない時もありますので、しっかりと準備して臨むということを全員で引っくるめてやってきてくれたかなと思います。ひたむきさという部分、筑波大学さんに感謝したいと思います。

――現在のチームの状況はいかがですか

 まず勝負に挑む上で、チームに与えられたメニューや共有させようということに関しては一生懸命やってくれるチームなのですが、自分から積極的に取り組んだり、より分析すること、与えられたことを受け取るだけでなく自分たちで考えることが少し欠けていましたので、その部分を指摘しました。どこもかしこもみんながディスカッションをしている姿が目立ちましたので、全員でクリアにゲームができたのではないかなと思います。

――ターニングポイントはどこでしょうか

 シンビン中に14人で耐えたところ、耐えたところからペナルティーで3点を取ったところが、いろいろなプレーがある中で大きかったかなと思います。残り5分で髙武が戻った時のスタジアムの一体感、もちろん筑波の応援の方もいましたが、会場全体が慶應のディフェンスの奮闘を応援してくれているような雰囲気がありましたので、あそこは大きな10分だったと思います。

――現体制となって初の筑波大に勝利となりましたが、どのようなお気持ちですか

 筑波さんとは毎年いい試合をして大きな学びを得て負けていましたが、今年も学びを得つつもしっかりと勝ちたいと思っていましたので本当にうれしかったです。

――中盤のキックでのエリアの取り合いが大きなポイントでしたがどのようにご覧になっていましたか

 中楠を中心に蹴り勝っていたと思います。もちろんチャンスがあれば攻めて行くように、リスクとリターンのところで良い判断をしていたと思いますし、唯一のトライはカウンターアタックからのトライでしたので、蹴り勝った結果のトライだと思いますので非常に素晴らしいキックバトルだったと思います。

――中楠選手のリハビリ期間について

 リハビリ期間で精神面も成長したと思います。特に精神面の成長で人間性が非常に磨かれたと思います。元々クールなところがありましたが、後輩に積極的に話しかけるようになりましたし、チームを助けるような選手に成長したなと思います。

フランカー今野勇久主将

――今日の試合の総括をお願いします

 非常に楽しかった試合だったので、勝つことももちろん楽しいですが、それ以上にギリギリのやり合いという部分をチーム全体で楽しめたことが勝因かなと思います。結構フィールドや今日の試合だけにフォーカスされると思いますが、部員150人がそれぞれの立ち位置で今週1週間しっかり戦い、フォーカスして100パーセント準備できた結果が、たまたま23人ができただけだと思うので、今日の試合はチーム全員でつかんだ勝利だと思います。

――主将としてどのようにチームに声をかけられたのでしょうか

 僕たちもやっているつもりではありましたが、本当に日本一という目標を見据えたときに自分たちができるところで気持ちよくなってしまっていた部分があったので、そこを選手たちの中で気付くべきですが徹さんが一回喝を入れてくれたので、やっぱり俺たちがやれることはもっとあるよね、自分たちが掲げている日本一に対してもっと真摯に向き合えるということを15人だけでなく部員全員が思って行動できたことが変わったところや1週間のキーポイントだと思います。

――チーム全員でハドルを組むということは今まであまりなかったのでしょうか

 ありましたが普通にはない特別なハドルでした。朝6時半に集合して、部員が多く練習も別々でバラバラな時間になることが多いのですが、そうではなくて一回集まって全員でハドルを組んで今の問題を共有したという感じです。

――試合の入りで両校堅くなっている印象がありましたが、選手同士の声がけなどはいかがでしたか

 結構それも想定内であり、自分たちうまくいかないことばかりだよね、と試合前から話していたので、どうやって切り替えていくか80分間で勝かということを試合前にしていたことが大きく崩れなかった要因かなと思います。

――4連勝になりましたが、これからの戦いにむけてどのように生かしていきますか

 今年のチームでよく言っているのが、自分たちは勝敗をコントロールできないので、自分たちができることは準備を100パーセントやりきることだけだと思います。しっかりとオフを挟んでグラウンドに立った時にもう一回ジャージを目指して100パーセントにしてその先に出た選手がチームのやりたいことを表現できると思うので、試合を見据えていますが、一回一回の練習でチーム内で競争して明治戦を迎えたいと思います。

SO中楠一期

――今日の試合の総括をお願いします

 週の頭に監督から厳しい言葉をいただいて、部員全員でハドルを組んでしっかりと準備をしようという話があり、そこからみんなの頭が切り替わり、みんなで準備した結果が今日の結果だと思います。勇久(今野)も言ったように、BKで言えば、しっかりと下のグレードの選手たちが分析して情報をくれるようなことがありましたので、しっかりとみんなで準備した結果が今日の結果だと思います。

――前半チャンスで取りきれない中1点差で折り返し、後半のトライで逆転した後のゲームの進め方や全体のゲームマネジメントについてはいかがですか

 うまくいかなかったところとして前半の終わりの時間帯と後半のミドルの時間帯は、フィットネスの部分でみんな落ちますし、頭の回転も遅かったりして難しいところがありました。うまくいかないことも準備した中での想定内という話をしていて、しっかりとチームとしてコネクトする中で、鬼木(CTB鬼木崇)や響(FB山田響)としっかりとトークして常に情報をもらっていたので、みんなで考えて我慢しきれていいかたちでできた要因かなと思います。

――後半20分の戦い方は想定していたものでしょうか

 簡単な試合にならないことは分かっていたので、(ラグビーは)80分経った時に1点勝っていればいいスポーツなので、じっくりいこうと話していて、実際に80分まで時間があってビハインドでもみんなで落ち着いてやっていくことができていたかなと思います。その中で髙武のシンビンなど想定外の部分はありましたが、想定外の中でもパニックにならずに準備していたものがあったので、働き続けられてよかったかなと思います。

――ケガで出遅れていましたが、今の調子はいかがでしょうか

 僕自身あまりケガをしたことがなく、大学に入って初のリハビリだったのですが、その中で細かく体と向き合って自分に足りないものが見つかって、そういったものをブラッシュアップして戻ってこれたので、その時間は僕にとって必要な時間だったと思います。その時間もグラウンドに残ってるメンバーとコネクトしていましたしハードワークしてくれていたので、すごく歓迎してくれて戻してくれたといいますか、自分の中では調子がいいのかなと思います。

――リハビリ期間で役に立ったことはありますか

 自分の体と向き合ったことがなかったので、一回自分の弱い部分と向き合えたことが今の自分のフィジカルなどにつながっているのかなと思います。

――ご自身でコミュニケーションの部分で成長を感じられる部分はありますか

 1年生の頃から勇久と上のグレードでプレーさせていただいていて、コロナのこともありみんなで同じ時間に何かするということが少なく、その中で人間関係のコネクトが弱かったなと感じ、実際リハビリになって今まで関わりが少なかった人とも多くコミュニケーションを取るようになって、よくなかったなと気付いたのでみんなとたくさんコミュニケーションを取ってもっと良いラグビーができるなと感じたので、大きな気づきだったなと思います。

関東大学対抗戦
慶大スコア筑波大
前半後半得点前半後半
10
16合計12
【得点】▽トライ 佐々木▽ゴール 中楠(1G3PG)
※得点者は慶大のみ記載
 
関東大学対抗戦Aグループ得点表(10月17日現在)
チーム勝ち点試合得点失点得失トライ
帝京大2044003142628848
早大1401632513824
明大192654921641
慶大191433710620
日体大14348-334
筑波大71117-4611
青学大45208-163
立大212-205
  
関東大学対抗戦Aグループ星取表
 帝京大早大明大慶大日体大筑波大青学大立大
帝京大11/6 14:00熊谷11/20 14:00秩父宮12/3 14:00秩父宮〇129-619T17G〇45―207T5G〇52-08T6G〇88-014T9G
早大11/6 14:00熊谷12/4 14:00国立11/23 14:00秩父宮〇102-0
16T11G
〇23-17
2T2G3PG
〇38-3
6T4G
〇31-7
5T3G
明大11/20 14:00秩父宮12/4 14:00国立11/6 11:30熊谷〇74-0
12T7G
〇33-22
5T4G
〇70-27
10T10G
〇88―0
14T9G
慶大12/3 14:00秩父宮11/23 14:00秩父宮11/6 11:30熊谷〇43-8
7T4G
〇16-121T1G3PG〇48―107T5G1PG〇36-75T4G1PG
日体大●6-1292PG●0-102 ●0-74 ●8-431T1PG12/4 14:00熊谷11/19 14:00江戸川11/5 14:00熊谷B
筑波大●20-452T2G2PG●17-233T1G●22-335T4G●12-162T1G12/4 14:00熊谷11/5 11:30熊谷B11/19 11:30江戸川
青学大●0-52 ●8-381T1PG●27-702T2G2PT2PG●10-482T11/19 14:00江戸川11/5 11:30熊谷B12/4 11:30熊谷
立大●0-88 10/23 13:00新潟●0-88 ●7-361T1G11/5 14:00熊谷B11/19 11:30江戸川12/4 11:30熊谷

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、国立は国立競技場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、敷島は群馬・アースケア敷島サッカー・ラグビー場、新潟は、新潟市陸上競技場、月寒は北海道・月寒野外競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、太田は群馬・太田市運動公園陸上競技場、小田原は神奈川・小田原市城山陸上競技場、大和は神奈川・大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。