世界卓球団体戦 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が4日、中国・成都で行われ、女子グループリーグ(GL)最終戦に臨んだ世界ランク2位の日本は、同52位ウズベキスタンを3-0で下した。予選全4試合でストレート勝ちを収め、首位…

世界卓球団体戦

 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)が4日、中国・成都で行われ、女子グループリーグ(GL)最終戦に臨んだ世界ランク2位の日本は、同52位ウズベキスタンを3-0で下した。予選全4試合でストレート勝ちを収め、首位通過。20歳の長崎美柚(木下グループ)は13歳にわずか約13分で3-0と圧勝した。「Wみゆう」として注目を集める親友・木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)と出場を夢見た世界卓球。苦楽をともにしてきた仲良しコンビが日本を金メダルに導く。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 今大会最年少の13歳エルケバエワを圧倒した。木原、早田ひなの連勝で迎えた第3試合。長崎はサウスポーから強烈なフォアハンドを繰り出し、第1ゲーム(G)をいきなり7連続ポイントでスタートした。たった3分ほどで11-2。その後も主導権を譲らず、11-8、11-5と連取した。約13分で日本の勝利を確定させ、メンバーとグータッチ。テレビカメラに笑顔で手を振った。

 前回2018年の団体戦はメンバー入りしたものの、出番はなかった。今大会は初戦に世界卓球デビュー。この日が自身3試合目となり、まだ1ゲームも落としていない。ライバル・中国メディアからの評価も上昇しているが、「もう少し時短できたかなと思います」と反省。それでも、木原と世界卓球のコートに立ったことを喜んだ。

「自分たちの一つの夢でもあったので、それを実現できて凄く嬉しいですし、ジュニア時代からずっと一緒に頑張ってきていたので、自分たちのステージも上げることができた」

 2学年下の木原との出会いは小学生。一緒に世界卓球に出ることを夢に掲げた。長崎が高校1年の時、個人戦で行われる2021年大会の開催地が米テキサス州・ヒューストンに決定。「一緒にアメリカに行きたいね」。2人で誓い、道筋を描いた。

「そのためにはシングルスとダブルスがあるよね。ダブルスの方が現実的。そのために頑張ろう」

 約束を交わして切磋琢磨。ペアを組み、19年12月にはITTFワールドツアーグランドファイナル準決勝で世界卓球女王の中国ペアから大金星を挙げた。そのまま大会を制し、年間女王に輝く快挙を達成。「Wみゆう」として一躍脚光を浴び、夢は現実味を帯びていった。

 しかし、だ。

木原に支えられる長崎「やっても、やっても上手くいかない時に…」

 20年大会はコロナ禍で中止に。昨年8月、シングルスで行われるヒューストン大会の代表選考会で長崎は予選リーグ2位通過。調子を崩しており、決勝リーグを前に不安で涙が止まらなかった。木原と同様に代表落選。シングルスで国内を勝ち抜く厳しさを知った。

 今年3月の代表選考会。4強入りで世界卓球の出場が決まる中、準々決勝で伊藤美誠を倒し、代表権を掴みとった。嬉し涙を流し、同じく代表入りした木原とハグ。成長を示し、約束を果たした。

 長崎は「性格や考え方が凄く対照的」と明かす。自身は考えすぎるタイプの一方、木原は切り替えが早い。だからこそ、一緒にいれば「それぞれが気づかないところで互いをフォローできる。どちらかが落ち込んでいる時、2人ならではの声かけができます。他の人にはわからないこともわかり合えるので、特別な存在です」と感謝する。苦しい時には支えてくれた。

「練習をやっても、やっても上手くいかない時とか、ちょっと自信がない時に『大丈夫?』と声を掛けてくれる。楽しいことに話を持って行って、常に明るい雰囲気をつくってくれますね」

 この日の取材エリア。長崎が受け答えしている最中に、木原が後ろから忍び寄った。肩の上に顔を寄せていたが、長崎は全く気づかず。30秒ほど喋り続けたところで「うあっ!?」と驚き、“相方”からのドッキリに爆笑した。

 大舞台でも和気あいあいの仲良しコンビ。中国の5連覇阻止へ、世界ランク5位の早田、6位の伊藤が軸となり、カットマン・佐藤瞳も含めた“第3の選手”が日本を強くする。5日の決勝トーナメント1回戦は、チーム世界ランク4位の強敵・韓国だ。

「明日から対戦相手が凄く強くなるので、自分のギアを上げて相手に向かっていく。気持ちでは絶対負けないように、しっかり準備して金メダルを目指して頑張ります。(木原と)もっとこれから2人で上を目指して頑張りたいです」

 3大会連続銀メダルから51年ぶりV。悲願達成にはWみゆうの力が欠かせない。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)