米メディアも統一見解、今季MVP争いは大谷とジャッジの一騎打ち エンゼルスの大谷翔平投手は29日(日本時間30日)から始まる本拠地でのヤンキース3連戦に臨む(MLBはABEMAで毎日生中継)。この3連戦では投手として登板する予定はなく、指名…

米メディアも統一見解、今季MVP争いは大谷とジャッジの一騎打ち

 エンゼルスの大谷翔平投手は29日(日本時間30日)から始まる本拠地でのヤンキース3連戦に臨む(MLBはABEMAで毎日生中継)。この3連戦では投手として登板する予定はなく、指名打者として出場する見込みだ。2022年シーズンも終盤戦に突入。8月最後の本拠地3連戦では、ヤンキース主砲のアーロン・ジャッジ外野手とのMVP争いに大きな注目が集まる。(数字は現地26日=日本時間27日現在)

 大谷vsジャッジ――。26日(同27日)まで、ジャッジは打率.297、49本塁打、109打点の成績で本塁打と打点のリーグ2冠を走り、打率.262、27本塁打、75打点の大谷とは大きな開きがある。それでも、大谷の強打者の指標を示すOPSは後半戦.941をマーク。ジャッジ(1.285)とアストロズのアレックス・ブレグマン内野手(1.056)らに迫るリーグ5位の成績で、昨季苦しんだオールスター戦後に調子を上げてきている印象だ。

 投手・大谷もリーグ屈指の好成績を残している。今季は21試合登板して、自身初の2桁となる10勝(8敗)、防御率2.83をマーク。他球団の主戦投手に比べて登板試合数が2、3試合少ないのにも関わらず、167奪三振はリーグ5位と堂々の数字で、奪三振率12.42はヤンキースのエース、ゲリット・コール(11.42)をも上回るリーグトップだ。また、ここまでの投球回数は121回。“野球の神様”で元祖二刀流のベーブ・ルースもできなかった規定打席(502打席)、規定投球回数(162回)のダブル到達にも期待がかかる。

 投打の二刀流で好成績を残す大谷と、リーグの打撃タイトル争いで凄まじい活躍を見せるジャッジ。甲乙つけがたいMVP争いについて、米メディア関係者は、大谷の「本塁打数UP」がカギと見ているようだ。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」でエンゼルス番を務めるサム・ブラム記者は「非常に接戦だと思います」とし、今後の展望に言及した。

「ジャッジの打撃成績を考えると、オオタニは打撃面を少し改善する必要があると思います。ただ、32、33本塁打を打ち、防御率3点未満だとMVPを与えないわけにはいかない。仮にジャッジが65発を打ったとしても無視しがたい成績です」

打撃成績はジャッジが大幅リード、米メディア「オオタニは本塁打を打って」

 他球団を追うメディアも同意見だ。米紙「フォートワース・スターテレグラム」のレンジャーズ番、ジェフ・ウィルソン記者は「オオタニのような活躍をできる人は他にはいません。チームが強かろうが弱かろうが、MVPレースには関係ないと考えます」と明言。ただ、大谷の連続MVP受賞にはブラム記者と同じように、本塁打増が必要と説いた。

「オオタニは本塁打を打って、長打率、OPSをもっと上げる必要があるでしょう。その点、ジャッジは遥かに先を行っています。打撃の調子が少し上向けば、かなりの後押しになるはずです」

 この3連戦で、ヤンキースは先発ローテーション通りなら、29日(同30日)の初戦にアスレチックスからトレード移籍したフランキー・モンタス、第2戦にジェイムソン・タイヨン、第3戦にコールの3投手がマウンドに上がる。大谷はモンタス相手に21打数9安打の打率.429、3本塁打と相性抜群で、タイヨンからは昨年6月29日に27号、28号と2打席連続弾を放っている。何よりジャッジとのMVP争いで注目される3連戦でアーチをかけられれば、大きなアピールとなるに違いない。

 そして、今回は大谷にとっては“リベンジ”のシリーズにもなる。5月31日(同6月1日)からの3戦シリーズで、打者では12打数2安打の打率.167、打点なしに抑えられた。投手としても、6月2日(同3日)のダブルヘッダー第1試合で4回途中3被弾を含む8安打4失点と崩れて4敗目。大谷は「もちろんいいチームだというのもあります。いいチームだというのと、自分の調整、出しているパフォーマンスが良くないところかなと思います」と振り返っていた。

 このシリーズでエンゼルスはヤンキースに3タテを食らい、6月8日(同9日)の本拠地・レッドソックス戦まで球団ワーストの14連敗。この大型連敗中に、大谷の二刀流を後押ししたジョー・マドン前監督が解任され、チームを去った。

 エンゼルスは地区4位と低迷。すでに今季のポストシーズン進出は絶望的となっている。それでも、大谷が真夏のヤンキース3連戦でどのような打撃を見せるのか、ファンは期待に胸を膨らませている。ジャッジとのMVP争いを占う重要なバトルは見逃せない。(小谷真弥 / Masaya Kotani)