完封勝利は12球団最多の18度、その内1人が投げ切ったのは1度だけ■西武 2ー0 ソフトバンク(16日・ベルーナドーム) 西武投手陣はここが変わった──。パ・リーグ首位の西武は16日、本拠地ベルーナドームで行われた2位・ソフトバンク戦に4投…

完封勝利は12球団最多の18度、その内1人が投げ切ったのは1度だけ

■西武 2ー0 ソフトバンク(16日・ベルーナドーム)

 西武投手陣はここが変わった──。パ・リーグ首位の西武は16日、本拠地ベルーナドームで行われた2位・ソフトバンク戦に4投手の継投で2-0の零封勝ち。ゲーム差を2.5に広げた。チームの零封勝ちは12球団最多の今季18度目だが、1人の投手が投げ切って達成したケースは、與座海人投手が7月30日にソフトバンクを7安打完封した1試合だけ。リリーフ陣の充実ぶりが目覚ましい。

 2-0で迎えた7回。先発して6回114球5安打無失点でマウンドを降りた高橋光成投手の後を受けて、水上由伸投手が登場した。前回登板の14日・楽天戦では同点の8回に登板し、自身の牽制悪送球も絡んで決勝点を許し今季3敗目を喫しただけに、一抹の不安を抱えてのマウンドだった。しかし、先頭の三森を得意のスライダーで空振り三振に仕留めるなど3者凡退で払拭。今季防御率は0.96となった。

 8回は来日1年目のバーチ・スミス投手。8月からリリーフに転向し、13日の楽天戦で初セーブを挙げるなど適性を発揮しはじめている。この日も先頭の牧原大にいきなり死球を与え、2死一、二塁とされたものの、無失点で切り抜けた。最後は守護神の増田達至投手が2死から周東に左前打され、一発で同点の場面をつくるも、今宮を右飛に打ち取り勝利を手にした。

 西武のリリーフ陣は、平良海馬投手が右手中指を痛め、10日から出場選手登録を抹消されているが、それでも今季は人材に事欠かない。ブルペンにはまだ、今季防御率1.83の本田圭佑投手、1.63のボー・タカハシ投手が残っていたほどだ。

森友哉「慌ててリードすることがなくなりました」

 さらにもう1人、有望なリリーバーが加わった。ドラフト1位ルーキーの隅田知一郎投手である。今季1軍で11試合に先発し防御率3.19をマークしながら、1勝7敗と大きく黒星先行。2軍での調整を経て、この日中継ぎ要員として戦列に加わった。辻監督は「先発で勝ちに恵まれなかったが、中継ぎでギアを上げて短いイニングを投げることは、いい経験になると思う。気持ちがもっと前面に出るかもしれない。経験として中(中継ぎ)に入れようということで、来年しっかり先発に戻ればいい」と説明する。いずれにせよ、防御率1.65の佐々木健投手が左肩の張りで登録を抹消されている中、隅田も貴重な左腕として重宝されそうだ。

 成長著しく新人王の有力候補の水上、先発からの転向がハマった本田、新顔のスミス、ボー・タカハシらのリリーフ陣は多士済々。首位を走る原動力となっている。先発陣も、昨季1勝のサブマリン・與座が既にリーグ2位の9勝を挙げ、来日1年目のディートリック・エンス投手も7勝。補強も功を奏し、昨季まで4年連続リーグワーストだったチーム防御率は16日現在、リーグトップの2.48と劇的に改善されている。

 リードする森友哉捕手は「今年は去年に比べて、四球が圧倒的に少ないと思う。おかげで慌ててリードすることがなくなりました。これまでは早くストライクを取って、早くアウトを取らなあかんと思ってましたが、今はボールでもいいやとか、1つ余裕ができて、配球しやすく、いろいろなことができるきっかけになっています」と明かす。

 昨季の西武投手陣の与四球は、12球団ワーストの597(1試合平均4.17)に上り、リーグ最少の楽天の383(1試合平均2.68)とは大差があった。それに引き換え今季は、109試合で324。ソフトバンクに次いでリーグで2番目に多いが、1試合平均2.97に激減している。やはり投手の明暗を分けるのはコントロールと言えそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)