昨秋と今春の都大会で連続1点差負け 第104回全国高校野球選手権の西東京大会は31日、神宮球場で決勝が行われる。第1シー…

昨秋と今春の都大会で連続1点差負け

 第104回全国高校野球選手権の西東京大会は31日、神宮球場で決勝が行われる。第1シードの日大三と、2020年の都独自大会を含めて“夏3連覇”を目指す東海大菅生が対戦。元中日投手の東海大菅生・若林弘泰監督は昨秋と今春、日大三に連敗しているとあって「リベンジしたい」と雪辱に燃えている。

 29日の準決勝では、国士舘に4-3で競り勝った東海大菅生。延長10回、プロ注目の強打者でDeNA・小池正晃外野守備走塁コーチの長男・祐吏内野手(3年)が、詰まりながら二塁手後方に落ちる決勝適時打を放った。小池はそれまで4打席凡退していたとあって、若林監督は「ポテンヒット1本でテレビのインタビューを受けていたのは、ちょっと納得がいかない」と報道陣を笑わせていた。

 昨年は春夏連続で甲子園出場を果たした東海大菅生だが、新チーム結成後は、昨秋の東京大会準々決勝で日大三に7-8と惜敗。今春の東京大会も同じ準々決勝で日大三に2-3と一歩及ばなかった。

 若林監督は「2度負けているので、“倍返し”とはいきませんが、甲子園がかかった試合できっちり、リベンジしたい。同じ相手に3回は負けられない」と、特別な思いを隠そうともしない。自身がプレーしたプロのペナントレースでも、カード3連敗は最も避けなければならなかっただけに、なおさらかもしれない。「きっちり対策をして臨みます。ウチの投手が2、3点に抑えてくれれば、勝機が広がると思います」と勝利のシナリオの一端を明かした。

エースの鈴木泰成が復活「今のフォームはうまくいっている」

 鍵を握る投手陣では、昨年12月に右肘を疲労骨折し手術を受けたエースの鈴木泰成投手(3年)が復活。今大会を通じて調子を上げている。準決勝では国士舘打線に対して7回を投げ、味方のエラーも絡んで3失点(自責点1)したが、試合をつくってリリーフの日當直喜投手(2年)につないだ。

 ストレートのMAXは、手術前より4キロアップし148キロに。「手投げになる癖があったからこそ、肘を痛めたと思うので、リハビリ期間中も下半身を使えるようにトレーニングしましたし、少し投げられるようになってからは、シャドーピッチングで投球フォームを固めました」と振り返る。「今のフォームは、左足を上げた時にひと呼吸置き、接地した時にもワンテンポ間を置いて、急いで投げないようにしているところが、うまくいっていると思います」と説明する。

 もちろん、“元プロ”の若林監督のアドバイスは貴重。「自分は変化球を投げる時、肘が下がってしまことがあり、監督にそこを指摘していただいて気をつけると、キレのあるボールがいきます。ありがいたいです」とうなずく。

 若林監督就任後、東海大菅生は春夏2度ずつ甲子園の土を踏み、全国4強と8強が1度ずつ。再生したエースとともに、宿敵を破って“聖地”に戻れるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)