昨年引退した谷口雄也さん、現在は日本ハムのアカデミーコーチ 20年ほど前は、今のように野球に関する動画や野球教室が一般的…
昨年引退した谷口雄也さん、現在は日本ハムのアカデミーコーチ
20年ほど前は、今のように野球に関する動画や野球教室が一般的ではなかった。愛工大名電高(愛知)で通算41本塁打を放ち、昨シーズンまで日本ハムでプレーした谷口雄也さんは少年時代、屋外で3メートル近い竹を振り、自宅ではプラスチックのバットで羽根を打ち返していた。時代が変化して指導法や道具は変わっても、元プロの練習法や考え方には少年野球の子どもたちが上達するヒントが詰まっている。
怪我の影響もあって昨シーズン限りで現役を引退した谷口さんは現在、日本ハムの事業統轄本部で2023年3月に開業する「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」のPR業務を行いながら、日本ハムのアカデミーコーチとして少年野球の子どもたちを指導している。自らの少年時代と今を比べ、環境は大きく変わったと感じている。
「当時はプロ野球のアカデミーもYouTubeもなかったので、野球中継や雑誌の連続写真でプロの選手を参考にしていました」
小中学生の頃は練習で上級生の姿を目で追い、自宅ではプロ野球選手の真似をして技術を磨いた。のちに高校の先輩となるオリックス時代のイチローさんや、巨人でプレーしていた松井秀喜さん、高橋由伸さんら同じ左打ちの強打者を必死に見ていたという。
そして、憧れの打者に近づけるようにスイングを繰り返した。3メートル近い竹を振るのも日課の1つ。テレビで高橋さんが子どもの頃に長い竹を振っていたと知り、すぐに取り入れた。バットより重くて長い竹を扱うためには無駄のない振り方が必要で「スイングする手と体が離れないように振っていました。体幹と腹筋を使わないと力が入らないことも分かりました」と語る。
壁を前にした素振りはバットを最短距離で出す練習
素振りは自宅の壁の前に立ってする時もあった。バットを最短距離で出さないと壁に当たる距離感でスイングし「バットを内側から出す感覚が身に付きました。レベルスイングで左の肩が前に出すぎないようにして、壁に当たらないバットの出し方、足の踏み出し方を意識していました」と振り返る。自宅の中ではプラスチックのバットで羽根を打ち返す練習をしていた。谷口さんは飛距離を出したい少年野球の子どもたちに、この羽根打ちを勧めている。
「バットの重さに関わらず、まずはフルスイングできるようになることが必要です。6畳くらいの広さがあれば十分なので、羽根を投げてもらって強く速くスイングします。スイングしているうちに、遠くに飛ばすにはどうすればいいか感覚をつかめてきます」
谷口さんが練習に自分なりの工夫をしていたのは、上のステージやレベルを見据えていたからだった。考える力がなければ、思うように技術を伸ばせないと感じていた。「中学、高校と進んだ時に指示待ちの選手にならないように、他の人を見て学んだり、考えながら練習したりするよう心掛けていました」。名門・愛工大名電高で通算41本のアーチを放ち、プロで11年間プレーした谷口さん。その練習法や考え方は時代が移り変わっても、少年野球の子どもたちの成長につながるきっかけとなるはずだ。(間淳 / Jun Aida)